必要な能力とは?PMOのキャリアを歩むためのスキルセットについて

公開日:2022.10.31(月) 更新日:

PMOのキャリア形成に必要なスキルセットを紹介

必要な能力とは?PMOのキャリアを歩むためのスキルセットについて

PMOはプロジェクトの管理を役割とする組織であり、必要となるスキルセットは数多くあります。

そのため、PMOを目指すのであれば、普段の仕事からマネジメントの役割などをこなし業務経験を積んでおくことが重要になります。

また、資格試験を利用して求められるスキルセットを習得しておくことも推奨されます。

この記事では、PMOに求められる役割や、そのために必要となるスキルセット、およびおすすめのキャリアなどについて解説します。

役割、業務を職種別に紹介

役割、業務を職種別に紹介
PMOの役割は多岐にわたります。プロジェクトごとに業務内容は異なり、案件によっては非常に特殊な役割を求められることもあります。

そのため、案件に入って仕事をこなしながら必要な知識をキャッチアップしていくことも必要になります。

案件に入る前は、PMOの一般的な職種と、それぞれの役割や業務内容を参考に、能力開発を進めておくと良いでしょう。

PMOはアドミニストレータ、エキスパート、マネージャという3つの職種に分けられており、それぞれ役割、仕事内容、スキルセットなどが少しずつ異なっています。

実際のプロジェクトでは、この職種ではっきり役割が分けられているわけではないのですが、PMOの仕事を理解する上では有効です。

PMOの業務内容をイメージしやすくなり、キャリアを通してどのようなスキルセットを取得していくべきか考えやすくなります。

出典:日本PMO協会|NPMO

アドミニストレータ

PMOメンバーの一員として、プロジェクトの中の事務的な仕事を担当します。

プロジェクトメンバーのサポートが主な役割となります。具体的には例えば以下のような仕事を行います。

  • 定例や随時開かれる会議で必要なメンバーの招集、議事録の作成
  • プロジェクトで必要なツールの設定管理や備品の調達
  • 進捗や課題の定期的な確認および遅延が発生している場合はその担当者へのリマインド

エキスパート

プロジェクトマネジメントの中核となるポジションです。

特に品質管理関連の仕事が重要となる職種で、作業方法や成果物作成の標準化を行うなど、全体の品質を目標の水準に保つ役割を担います。

プロジェクトを成功させるためには、品質、コスト、スケジュールなどを計画段階でまとめた要件通りの基準で達成していく必要があります。

エキスパートはプロジェクトの成果物の精度を確認し、品質が基準を満たしていることを常にチェックします。

その上で、課題やリスクなどが発見された場合は、適切な解決策を講じることも求められます。

マネージャー

PMOのメンバーの管理を行うポジションです。

PMOという組織が果たすべき役割を常に検討し、プロジェクト成功に必要なタスクを洗い出し管理します。

仕事は自ら行うという方法ではなく、PMOメンバーをアサインし対応させる形で推進します。

具体的には以下のような仕事があります。

  • プロジェクトマネジメントの戦略や計画の策定
  • PMOが行うべき業務の把握、管理、メンバーへの割り振り
  • PMOが対応すべき業務または解決すべき課題に関する意思決定

PMOに求められるスキルセットとは

PMOに求められるスキルセットとは

PMOの主な業務はプロジェクトマネジメントに関する業務ですが、管理以外の仕事もあり求められるスキルセットは数多くなります。

大きくはソフトスキルとハードスキルに分けられます。

基本的に、ソフトスキルに関してはPMOとしての仕事を開始する前にある程度は身につけておくことが望ましいでしょう。

逆にハードスキルに関しては挙げるとキリが無くなるため、全てを習得しておくことは現実的ではありませんが、プロジェクトに入ってからキャッチアップしていく姿勢が重要になります。

ソフトスキル

仕事をする上での基本的なスキルになります。特に対人関係のスキルが多いです。主に以下の能力がPMOの役割を務める上で重要になります。

  • マネジメント能力
  • コミュニケーション能力
  • リーダーシップ
  • ビジネスマナー
  • フットワーク

PMOはプロジェクトをマネジメントする組織であるため、進捗、予算、リスクなどを正確に管理する能力がポイントになります。

また、マネジメント能力が最も重要と思われていますが、実はコミュニケーション能力も同じくらい求められるスキルになります。

PMOメンバーはプロジェクト内の様々な人と連携しながら仕事をすることが求められます。

特に交渉力や語学力など、プロジェクトメンバーと円滑にコミュニケーションを取っていく力が重要になります。

どちらも机の上ではなかなか身につけられるモノではないので、普段の仕事を通してスキルを向上させていくことが重要になります。

ハードスキル

特定の分野の知識など、専門的なスキルになります。

普段の生活の中で身につけることは難しく、資格試験などを利用して意識的に身につけていくことが多いです。

主に以下のものが重要になります。

  • IT関連の知識
  • 業務関連の知識
  • 経営関連の知識
  • ベンダの製品関連の知識

ハードスキルの場合、プロジェクトによって求められるものが全く異なります。

通常は、PMOメンバーを選抜する段階で、候補者の過去の経歴を確認する形で、必要なスキルセットを保持しているか確認が行われます。

そのため、求められるハードスキルを全く保持していない場合、そのプロジェクトのPMOメンバーに採用されることは基本的には難しくなります。

そして、仮にある程度求められるスキルの経験があった場合も、プロジェクトに入った後で継続的に知識のキャッチアップが必要になることがほとんどです。

どのプロジェクトにも特有の領域があるため、プロジェクトに入ってからでないと学びにくいものがあります。

つまり、ハードスキルの習得は非常に難しいと言えます。

ハードスキルは数多くあるため、参画しようとしているプロジェクトをある程度意識してキャッチアップを進めていくことがおすすめです。

ITプロジェクトであればIT関連、新規事業関連のプロジェクトであれば経営関連の知識など、特定の領域を意識することで事前のキャッチアップを行いやすくなります。

たとえば、IT関連の知識であれば、資格試験などを利用して一般的なシステム開発プロジェクトのマネジメントを学んでおくことが推奨されます。

その上で、SAP、Oracle、Salesforceなど需要が高い製品の知識も習得しておくことで、仕事の幅を広げていくことが可能です。

PMOにはどんな人が向いているか?

PMOにはどんな人が向いているか

PMOの仕事は「多くの人と関わる」、「業務内容は多岐にわたる」という特徴があります。

そこから以下のような特性を持つ人が特にPMOの仕事に向いていると言えます。

交渉する能力が高い人

PMOはプロジェクトの管理が求められるため、必然的に多くのメンバーと仕事やスケジュールを調整しながら進めていくことになります。

そのためコミュニケーションの力は重要で、特に交渉力が求められます。

例えば、課題が発生し一部のタスクが遅延しているとします。

その場合、影響が出る他のチームと交渉し、優先順位やスケジュール調整を行い、プロジェクトの当初の予定に極力影響が出ないよう工夫していくなどの対応が求められます。

サポートする力が高い人

PMOは自らタスクや課題の対応をすることよりも、他チームやメンバーに対応してもらう形でプロジェクトを推進していくことが求められます。

そのため、他のメンバーの仕事をサポートすることが得意であれば大きな強みと言えます。

たとえば、システム開発のプロジェクトであれば、自らプログラミングを行うことが求められることは基本的にはありません。

その場合、SEが仕事を進めやすい環境を作るなど、後方支援がPMOの役割になります。具体的には、開発するプログラムの優先順位を明確にする、などの対応が求められます。

複数のタスクに同時に取り組むことができる人

プロジェクトではもちろんタスク対応や課題解決が複数同時に進んでいきます。

PMOはプロジェクトを推進するため、各チーム、各メンバーのタスクや課題の状況に常にアンテナをはっておく必要があります。

プロジェクト計画に支障が出るような問題が発生した場合は、たとえその数が多い場合であっても全て対応していくことが求められるため、複数の課題を器用に解決していく必要があります。

そのため、多くのことに興味があり、複数の知識やスキルを同時にキャッチアップしていける人はPMO向きの特性を持っています。

逆に一つのことに集中して取り組みたい人にはあまり向いているとは言えません(もちろん、それが悪いというわけではありません)。

必要なスキルセットや経験を得るためにおすすめのキャリアプランは?

必要なスキルセットや経験を得るためにおすすめのキャリアプランは

PMOとして働いていけるようになるにはどのような仕事に就くべきなのでしょうか?もちろん、PMOに求められるスキルセットや経験を仕事を通して得られるということが理想にはなってきます。

そのため、現在の仕事をこなしながらでも、必要なスキルセットを習得していける仕事を意識して積極的に取り組むことがおすすめです。

また、一部、そのようなスキルセットや経験を積んでいきやすい仕事があるということも事実なので、参考にすると良いでしょう。

場合によっては転職を検討したほうが、よりPMOを目指しやすい環境を整えることができるかもしれません。以下、PMOで働いている人によくあるキャリアの例になります。

ITエンジニアとして現場経験を積み転職する

たとえば、SE(システムエンジニア)やITコンサルタントなど、IT関連のスペシャリストとしての経歴を持っているとPMOを目指す上で非常に有利になります。

特に管理職として働いている場合や、ITプロジェクトのマネジメント経験があれば、より理想的な経歴と言えます。

最近はIT関連のプロジェクトが業界を問わず増えており、それに伴いIT関連のPMOの需要が増加しています。

現代は社会的にDXが強く推進されており、ビジネスにおいてももちろん例外ではなく、多くの企業がDXを利用した新ビジネスや現行のビジネスの改善に取り組んでいます。

経済産業省も公式サイトでDXを利用した業務効率化を強く推奨しており、これからもさらにIT関連のプロジェクトを推進できるPMO人材の需要は増えていくことが予想されます。

参照:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

企業内でプロジェクトマネジメント関連の仕事経験を積む

現役のPMOメンバーの前の経歴を調べてみると、実は、さまざまな業界、職種の人がおり、特定の職歴が無いとPMOになることが難しくなるというわけではなりません。

PMOに特に必要となるマネジメント関連のスキルセットはどんな業界でも身につけて行くことが可能であるため、どんな仕事についていてもPMOの職を得るチャンスはあります。

ではその場合、どのように働くことでPMOの仕事につなげていくべきでしょうか?PMOに求められるスキルセットが身につけられそうなポジションに積極的に手を上げることがポイントと言えるでしょう。

PMOの場合、必要となるスキルセットは机の上ではなく経験から得られるモノがほとんどであるため、仕事を通してその経験を積んでいける環境に身を置くことが重要になります。

フリーランスになってPMO案件を獲得する

PMOを目指す上でフリーランスという選択肢も、人によってはおすすめの選択肢の一つになります。

フリーランスは会社員と比べ仕事の自由度が高いということがその一番の理由です。

もちろん、企業であっても社員が希望する仕事を聞いてはくれますし、できる限り希望する職種へ就けるよう配慮してくれます。

しかし、当然難しい場合も多く、特にフリーランスと比べると仕事を選べる可能性は低くなると言えるでしょう。

PMOは需要が高い職種であり、フリーランスにPMOの仕事を斡旋してくれる企業も非常に多くなっています。

そのため、PMOを目指す上でフリーランスになって、PMO案件を探すという道はおすすめの選択の一つです。

※ただし、フリーランスであれば基本的に即戦力が求められるため、ある程度PMOに求められる経験とスキルセットが無いとそもそも仕事を得ることができません。そのため、全ての人におすすめできる選択肢ではありません。

まとめ

まとめ
今回はPMOに求められるスキルセットを中心に説明しました。

PMOはマネジメント関連の業務以外にもプロジェクトを成功させるため様々なタスクをこなしていく必要があります。

持つべきスキルセットは必然的に多くなりますが、その分やりがいのある仕事になります。