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公開日:2024.10.07(月) 更新日:
PMOとプロジェクト事務局の役割や業務範囲、権限の違いを解説
日本でPMOの認知が広がりを見せる中、プロジェクト事務局との違いがわからないと感じる方もいるのではないでしょうか。
PMOの業務には庶務的な仕事があるため、プロジェクト事務局と同じ意味だと思いがちです。
しかし、役割や業務範囲に違いがあるだけでなく、求められるスキルも異なります。
企業のパフォーマンスを上げるには、プロジェクト事務局との違いを理解したうえで導入を検討するのが重要です。
本記事では、PMOとプロジェクト事務局の違いを解説します。
事業におけるそれぞれの立ち位置を紹介するため、プロジェクト事務局との違いを知りたい方は参考にしてください。
PMOとプロジェクト事務局はどう違う?
PMOとプロジェクト事務局は、部門に違いがあります。
各職務の定義は、以下の通りです。
PMO | 組織や事業内でプロジェクトマネジメントを多方面からサポートする部門 |
---|---|
プロジェクト事務局 | 組織や事業内で発生する事務作業全般を引き受ける部門 |
PMOの業務は多岐にわたり、なかには庶務的な仕事も含まれています。
組織の規模が大きくなるほどPMOの重要性は高まるため、業務内容に優先順位をつけなければなりません。
例えば、PMOが時間を割きにくい会議室の手配を、プロジェクト事務局が請け負うことで業務の円滑化が期待できるでしょう。
ビジネス価値の最大化へ向けたプロジェクト達成には、スムーズな組織運営が必要です。
プロジェクト事務局をPMOと呼ぶケースもありますが、一般的に2つの組織は定義に違いがあります。
PMOとプロジェクト事務局の役割と業務範囲の違いを徹底解説
PMOとプロジェクト事務局の役割や業務範囲の違いを解説します。
それぞれ実践的な役割に違いがあるため、しっかり理解しましょう。
一般的な役割
PMOとプロジェクト事務局の一般的な役割の違いは、以下の通りです。
PMO | プロジェクト成功へ向けてPM(プロジェクトマネージャー)のサポート活動をする |
---|---|
プロジェクト事務局 | プロジェクトを円滑に進行できるようサポートする |
PMOとプロジェクト事務局で共通する役割には、事業計画のために活動するPMのマネジメント支援があります。
例えば、1人社長の場合は経理から法務まで幅広い経営分野を個人でやらなければなりません。
いくら社長にスキルがあっても、業務量が増えすぎると1人では抱えきれなくなります。
結果として、プロジェクトマネジメントの品質を低下させる要因につながります。
PMが手を付けられない部分の支援活動をするのが、PMOの役割です。
プロジェクト事務局は、事務的なサポートにより組織を支える立場になり、個々で役割に違いがあります。
業務範囲
PMOの業務範囲は、以下の通りです。
- プロジェクトマネジメント業務のサポート
- プロジェクトマネジメントに関する人材開発
- 事業における課題の発見・解決
- 事業推進に向けたルール策定
- 各種資料の作成
- 進捗状況や予算の管理
- 事業の生産性を向上させる環境整備
- 専門的な業務サポート
一方でプロジェクト事務局は、プロジェクトの生産性を向上させる作業環境の整備や管理がメインになります。
プロジェクト事務局の主な業務範囲は、以下の通りです。
- 会議室や備品の各種手配
- 各種資料の作成
- 人材や進捗、セキュリティーなどプロジェクトに関する管理
庶務的な業務範囲のプロジェクト事務局に対し、PMOは人事や予算の管理がある点も双方の違いになります。
PMOとプロジェクト事務局では、必要なスキルや資格にも違いがあるため人選には注意しましょう。
PMOを導入するメリットとデメリット
企業がPMOを導入するメリットとデメリットを解説します。
メリット | デメリット |
---|---|
・事業の生産性を向上できる ・組織の進捗や状況を可視化できる ・PMの業務負担を軽減できる |
・導入コストがかかる ・意見の不一致が生じる可能性もある ・PMOに依存しすぎてしまうリスクが生じる |
プロジェクト事務局との違いだけでなく、PMO導入によりもたらされる効果を見ていきましょう。
メリット
求める役割によっても違いはありますが、PMOを導入する主なメリットは、以下の通りです。
- 事業の生産性を向上できる
- 組織の進捗や状況を可視化できる
- PMの業務負担を軽減できる
事業計画を成功させ、ビジネス価値を最大限引き出すためには、PMの決断が重要になります。
PMの業務負担が大きければ意志決定の時間が限られてしまい、最良な選択ができず事業の質を低下させかねません。
PMOの導入はPMの負担軽減につながるだけでなく、課題が見えるようになり問題が発生しても早急に解決できる環境を実現できます。
企業戦略を成功させるための意思決定に貢献できるのが、プロジェクト事務局との違いであり、PMO導入のメリットです。
デメリット
企業がPMOを導入するデメリットは、以下の通りです。
- 導入コストがかかる
- 意見の不一致が生じる可能性もある
- PMOに依存しすぎてしまうリスクが生じる
組織に外部の人間が入る場合、既存メンバーと意見の衝突があり、プロジェクトの進行に支障をきたすケースが考えられます。
PMOに依存しすぎてしまうと主導権を握られてしまう可能性があるため、導入する際はPMがリーダーとして事業を進める意識が重要です。
また、導入にはコストがかかるため、プロジェクトの規模によっては費用対効果を得られない場合があります。
導入の際は、必要性を明確にしてから検討するのが大切です。
効果的にプロジェクトを進めるためには、違いをしっかり理解することが大切
効果的にプロジェクトを進めるためには、PMOの役割に関連する違いを理解することが大切です。
PMOの職種や活動アプローチ方法などを紹介するので、導入を検討するにあたって違いを把握しましょう。
PMOの職種
PMOの役割や業務範囲は多方面にわたるため、職種の違いを理解した上で導入するのが重要です。
職種の違いを理解せず導入してしまうと、求めていたスキルと異なり、成果を得られない可能性があります。
認定資格などを実施している日本PMO協会で分類している職種の違いは、以下3つです。
PMOマネージャー | PMのサポートや戦略の考案、予算管理など、PMO組織の責任者としてマネジメント業務全般を担う |
---|---|
PMOエキスパート | プロジェクトの環境整備やルール策定など、プロジェクト品質の標準化を担う |
PMOアドミニストレータ | 書類作成や情報管理、経費処理など、主に庶務業務を担う |
効率良くプロジェクトを進められるよう、職種の違いや得られる効果を把握したうえで、スキルのある人材を採用するのが重要です。
PMOの実践的なアプローチ方法
プロジェクトの生産性向上を図るには、PMOが事業に対してどのようにアプローチするか考える必要があります。
活動アプローチ方法の違いは、主に以下の3つです。
支援型・助言型 | PMから要請があった場合に、PMOが適切な助言や具体的なサポートをする |
---|---|
管理型・コントロール型 | PMOがPMから情報を集め、プロジェクトの統括や管理をする |
指揮型 | PMOがプロジェクトに介入し、PMおよびメンバーを指揮する |
活動アプローチ方法によって、PMOのプロジェクトに対する立ち位置に違いが出てきます。
意見の相違やプロジェクト内での関係性など、パフォーマンス低下につながらないよう注意して、企業に合った活動アプローチを検討しましょう。
PMO組織構成
プロジェクトを円滑に進めていくためには、PMOの組織構成も重要です。
主な組織構成は、以下の3種類になります。
プロジェクト事務局型 | 特定のプロジェクトをサポートする |
---|---|
全社型 | PM直下に配置され、複数のプロジェクトをサポートする |
ハイブリッド型 | 事務局型と全社型の両方に配置し、業務を幅広くサポートする |
例えば、プロジェクト事務局型の場合は各組織にサポートが行き届く一方、各プロジェクトの内情を把握できないデメリットが生じます。
対して全社型の場合は、複数のプロジェクトをサポートできる点から、作業全体の業務効率化が見込めるでしょう。
プロジェクト事務局型や全社型など、PMOの組織構成の違いによってサポートできる業務範囲が異なります。
企業に合った配置を慎重に検討するのがおすすめです。
記事のまとめ
PMOとプロジェクト事務局は同じ意味にとらえられがちですが、役割や業務範囲、権限の差に違いがあります。
PMOはプロジェクトの成功率を高められるよう、PMのサポート役を担っています。
対してプロジェクト事務局は、事業を円滑に進めるための業務を担う存在です。
ビジネス価値を高めるには、PMOとプロジェクト事務局の違いを理解したうえで導入を検討するのが重要になります。
メリットやデメリット、職種などの違いから自社に適したPMOを活用し、事業の生産性向上を図りましょう。