プロジェクト管理項目とは?具体的な内容とPMOの役割を徹底解説

公開日:2024.10.15(火) 更新日:

プロジェクト成功に向けたPMBOKに基づく管理項目や便利なツールも紹介

プロジェクト管理項目とは?具体的な内容とPMOの役割を徹底解説

プロジェクト型経営の注目度が高まっているなかで、プロジェクトの同時進行や管理項目の複雑化により、進行に支障をきたすケースもあるでしょう。

プロジェクト管理項目を設定すれば、PM(プロジェクトマネージャー)はプロジェクトの全体像を把握しやすくなります。

1つのプロジェクトを進行するうえで欠かせないスケジュール計画や、資源リソースの確保などにも寄与するでしょう。

この記事では、プロジェクト管理項目の基本的な内容やプロジェクトにおけるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割などを解説します。

PMOが把握すべき世界基準の管理項目や、導入すべき管理ツールについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

プロジェクト管理項目の基礎知識

プロジェクト管理項目の基礎知識
PMOはプロジェクトにおいて、品質・コスト・納期の達成に必要なタスクや確認項目を設定し管理すれば、進行がスムーズです。

しかし、プロジェクトの総合的な指揮を担うPMの仕事は多岐にわたり、細部の状況まで把握できない場合があるでしょう。

プロジェクト全体を把握できないまま進行すると、スケジュールの遅れや成果物が目標値に届かないなどのトラブルにつながる恐れがあります。

プロジェクトを管理するにあたって、マネージャーの感覚やスキルのみに依存し確認項目を設定した場合、一定水準の成果を挙げるのは難しいでしょう。

ここでは、プロジェクト進行で管理項目が重視される理由や、PMBOK(ピンボック)の概要を詳しく見ていきましょう。

プロジェクト管理項目とは

プロジェクト管理項目とは、プロジェクトをスムーズに進行させるために、PMやPMOが把握すべき項目です。

具体的には以下のような項目が挙げられます。

  • スケジュール調整
  • コスト管理
  • 人員の確保
  • 関係部署や利害関係者との関係構築
  • リスクの防止対策

PMOは横断的に各プロジェクトに関わるため、幅広い知見を得やすいポジションです。

PMOがプロジェクトの管理項目を統一し、一覧表を作成すれば、確認すべきポイントが明確になります。

PMOによるプロジェクトのフォローも容易になり、進捗状況に応じて人員の補充やスケジュールの見直しなどを迅速に行えるでしょう。

PMBOKとは

PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略称です。

プロジェクトの遂行における最も優れた実例や枠組みが包括的に掲載された冊子で、世界基準として日本に限らずさまざまな国で用いられています。

非営利団体である「PMI」により1996年に初版が発行され、2024年8月時点では第7版が最新版です。

PMBOKでは、プロジェクトの開始から進行から終結までのプロセスやノウハウが、体系的にまとめられています。

PMBOKに記載されている項目のすべてを取り入れる必要はなく、自社が取り組むプロジェクトに合わせて変更するとよいでしょう。

なお、PMOがPMBOKの内容をスキルとして身につけるために、資格取得を目指すのもおすすめです。

PMIが認定しているプロジェクトマネジメントに関連する国際資格に「PMP」があります。

PMOがPMPを取得すれば、プロジェクトマネジメントの知識だけでなく、実務的なスキルを有している証明になります。

PMBOKに基づくマネジメント項目とPMOの役割

PMBOKに基づくマネジメント項目とPMOの役割

PMBOKには、10の知識エリアが管理項目として掲載されています。

ここからはPMBOKに基づくマネジメント項目とPMOの役割を、それぞれのセッションに分けて解説していきます。

PMBOKに基づくマネジメント項目一覧

PMBOKに基づくマネジメント項目は、以下のとおりです。

10の知識エリア PMOの役割
統合管理 プロジェクトを立ち上げて目的やゴールを定め、計画から進捗管理、成果物の納品、プロジェクトの振り返りまでを行う
スコープ管理 依頼者の要望や仕様書から、プロジェクトの範囲を決定し、範囲内で業務が実施されているかどうかを確認する
スケジュール管理 プロジェクト達成に向けてタスクを洗い出し、期限までに納品できるスケジュールを設定したうえで、計画に基づき進行しているかどうかを確認する
コスト管理 プロジェクト進行に合わせて、想定外の費用発生も加味しながら予算を想定し、計画通りに費用が使われているかどうかを把握する
品質管理 プロジェクトにおける成果物の品質基準や検査方法などを明確化し、予定通りの品質を確保するために必要な作業が行われているかどうかを確認する
資源管理 物質的な資源や、プロジェクト進行に必要な人的資源の確保をはじめ、使用場面・役割を設定し、適切に活用できているかどうかを管理する
コミュニケーション管理 ステークホルダー(顧客や支援者など)が求める情報の共有方法を決定し、正確かつ適切にコミュニケーションを取れているかどうかを確認する
リスク管理 プロジェクト進行中に起こりうるトラブルや想定外のチャンスが発生する可能性を洗い出し、対応できるよう共有・管理する
調達管理 外部からプロジェクト進行に必要な物資や人材の調達計画を立て、スケジュール通りに確保できているかどうかを確認する
ステークホルダー管理 プロジェクトに関わる全てのステークホルダーを対象に、ニーズを満たして信頼関係を構築できているかどうかを把握する

PMOの役割

PMOは、先述の「PMBOKに基づくマネジメント項目」で紹介した10項目に沿ったプロジェクトの進行度を定期的にチェックしていくのが役割です。

プロジェクトが計画通りに進んでいなければ、PMOは改善に向かって戦略を練る必要があります。

しかし、プロジェクトの意思決定と並行して、項目の細部までPMが管理するのは困難でしょう。

PMOは設定項目やPMの判断基準に沿って、資料作成やメンバー・関係部署とのコミュニケーションを図ります。

ほかにも、ステークホルダーとの関係構築があり、PMが管理しきれない部分を支援します。

PMの業務や意思決定が円滑に進むようサポートするPMOは、プロジェクトに欠かせない職種なのです。

PMOがプロジェクト管理を成功させるためのポイント

PMOがプロジェクト管理を成功させるためのポイント

PMOがプロジェクト管理を成功させるためには、プロジェクト全体の目的や進捗を把握する必要があります。

しかし、プロジェクトの規模によっては情報量が多く、管理方法を誤れば資料や共有事項が散乱しかねません。

進行を妨げないためにも、PMOがプロジェクトを管理する際は、管理項目の網羅的な把握が可能な専用ツールを導入するのがおすすめです。

PMOは課題を発見しやすくなり、プロジェクト進行をより効率化できるでしょう。

ここでは、PMOがプロジェクトを成功させるためのポイントとして、全体像の把握や管理ツールの導入について解説していきます。

プロジェクト全体像の把握

PMOはプロジェクト成功のためにスケジュールやステークホルダー、課題など全体像の把握が重要です。

PMOが全体像を把握しないまま個別の課題に取り組むと、利害関係者に不利益が生じたり、進捗の遅延が発生したりする可能性があります。

PMの補佐役を担うPMOは、全体像を把握しながら全体を通した進行に影響しないかどうかの確認が欠かせません。

目的達成に必要なアクションかどうかも加味した実践が必要なので、まずはプロジェクト全体を把握するのが重要です。

管理ツールの活用

PMOがプロジェクトを成功に導くために、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。

プロジェクト管理ツールを導入し活用すると、以下のようなメリットがあります。

  • プロジェクトメンバーの進捗やリソースをリアルタイムで確認できる
  • プロジェクトの課題や進捗を管理できる
  • スケジュールに合わせた期限のリマインドができる
  • プロジェクトメンバーに共有すべき情報や資料をまとめられる

プロジェクトの進捗や課題などは、Excelや複数の管理ツールを用いた管理も可能です。

しかし、メンバー間で共有する項目が多い場合、データ更新の不備や資料を格納する場所が不明になるなど、デメリットの発生が考えられます。

プロジェクト管理ツールを導入すれば、PMOやPMに限らず社内のメンバーにかかる手間や時間コストの削減にもつながるでしょう。

まずは無料で試せるツールを利用すれば「機能が不十分」「操作性が合わない」など、導入後のリスクを回避できます。

記事のまとめ

記事のまとめ

この記事では、プロジェクトの管理項目や、スムーズな進行のためにPMOが担うべき役割について詳しく解説しました。

プロジェクトの進行においてマネジメントが必要な項目を設定すれば、進捗管理や突発的な事態への迅速な対応が可能です。

PMOがPMBOKの内容や、携わった各プロジェクトで得た知見を活かしてプロジェクト管理項目を設定すれば、スムーズな進行に寄与するでしょう。

PMOはプロジェクトを成功に導くために、全体像を把握したうえでの業務遂行が欠かせません。

必要に応じて管理ツールを導入すれば、成果により貢献できるでしょう。

PMOの役割と重要性を再認識したうえで、戦略的に活用させてプロジェクトの成功率を高めていきましょう。