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公開日:2022.08.08(月) 更新日:
PMOの人材を派遣で活用するメリットやポイントを紹介
近年では、システム導入プロジェクトの難易度が向上しており、プロジェクト管理も難しいものとなっています。
そのような中で、システム開発プロジェクトを実施する際にPMOを設置することは一般的となりました。
一方で、IT人材の不足は深刻な状況であり、多くの会社においてPMO業務を担う人材の確保が難しい状況にあります。
このような現状において活用したいのが、派遣人材の活用です。この記事では、PMO人材が不足している企業向けに、PMOの外部からの派遣について紹介します。
派遣のPMO人材を導入する企業が増えている理由とは?
近年、多くの企業でPM人材やPMO人材の不足が叫ばれており、派遣のPMO人材を導入する企業が増えています。これにはどのような背景があるのでしょうか。
以下では、システム開発業務やIT人材を取り巻く状況を紹介しつつ、解説していきます。
システム開発プロジェクトの高度化
近年では、システム導入プロジェクトが高度化しています。
プロジェクトの高度化とともに、難易度も上昇しており、これがシステム開発プロジェクトにおけるPMOの必要性を高めているのです。
システム開発プロジェクトが高度化しているのには様々な要因がありますが、一つにはビジネスにおいてITの重要度が増している点が挙げられます。
システムがカバーする領域は年々広がっており、あらゆる仕事はITなしに成り立たない状態となっています。
近年では、DX推進の潮流の中でアナログで行われている業務プロセスをデジタル化する動きも進んでおり、ますます仕事におけるITの比重が高まっている状況といえるでしょう。
また、IT技術の発達も大きな要因の一つです。
クラウド技術やAI・IoT、高度なセキュリティなど、システム開発プロジェクトにおいて押さえておかなければならない技術は増えています。
このような中では、それぞれの専門家をアサインしながらシステム開発業務を進めなければならず、システム開発プロジェクトの高難易度化の一因となっています。
企業で高まるPMO人材ニーズ
システム開発プロジェクトが高度化する中で、プロジェクト品質を高める効果が期待されるPMOのニーズは高まっています。
特に大手企業などではシステム規模も大きくなりがちであり、高いPMOニーズがあります。
また、DXの推進に伴って多数のプロジェクトが設置されるケースも増えています。
DXは組織・業務全体で行うことが推奨されており、同時並行でプロジェクトが立ち上がるという特徴があります。
このような状況においては、プログラムマネジメントとして全体管理を行うPMO業務も必要となってきます。
加えて、DXにおいて必要とされているレガシーマイグレーションやモダナイゼーション、SAP化、Web開発などを実施するためにも、PMOの仕事が必要となってくるでしょう。
PMOを設置するためには、当然PMOの業務を担うPMO人材が必要となります。
このような背景から派遣のPMOを活用する会社が増えているのです。
ますます確保が難しくなるPMO人材
PMO人材の確保は難しいのが現状です。日本におけるエンジニア・SEやPMなどのIT人材の不足状況は深刻なものがあります。
経済産業省の予測では、2030年に標準的なシナリオで79万人のIT人材が不足するとしています※。
特に日本においてはIT人材がベンダー企業に偏っているという問題もあります。
これまでユーザー企業では積極的にIT人材を確保してこなかったことから、ユーザー企業におけるIT人材不足は深刻です。
IT人材の不足状況から、PMO人材も同様に確保が難しくなっています。
ただでさえ確保が難しいIT人材の中でも、一定のスキルが求められ、かつ近年そのニーズが高まっているPMO人材の確保はより難しいといえるでしょう。
※経済産業省「IT 人材需給に関する調査」より
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
外部リソース活用の有効性
自社でPMO人材を育成するのは困難です。
そもそも、ユーザー企業においてはIT人材の確保自体が難しいことに加え、ユーザー企業では社内で頻繁に大規模プロジェクトが実施されることもないため、どうしても仕事で経験を積みにくいのです。
このような中で活用を検討したいのが外部リソースです。
上述の通り日本にはベンダー企業にIT業務の経験を積んでいる人材が偏っているという状況があり、社内ではなく派遣など外部からリソースを調達したほうが効率的です。
必要に応じて経験を積んだ外部リソースを活用することで、PMO人材の不足に対応することができます。
派遣や準委任を活用するメリット
外部リソースによる支援を受ける方法としては、派遣人材や準委任契約により確保した人材の活用が考えられます。
これらをPMOに活用するメリットはどのようなところにあるのでしょうか。以下では、大きく3つのメリットを紹介します。
案件のリソース不足補填
最も大きなメリットは、案件のリソース不足をスピーディに補填できることです。
自社にPMO経験のあるリソースが不足している場合の選択肢としては中途採用による人材獲得も考えられますが、中途採用のハードルは比較的高いといえます。
多くの企業においては、社内の権限規程などで人材の採用は社長や役員などかなり高いレベルでの決裁が必要と定められているのではないでしょうか。
人材採用は会社の根幹ともいえるため、簡単には実施できないのが実態です。
一方で、派遣や準委任契約を活用することで、比較的容易に経験を積んだ人材を確保することができます。
これらの契約形態であれば、全社的な決裁は不要となる会社も多いはずです。
人材確保にかかる時間も、中途採用と比較すると圧倒的に短く済みます。
プロジェクトの規模が大きくなれば、準委任契約により外部の会社にチームを作ってもらい、PMOの仕事を担っていただくというような方法も検討できます。
また、プロジェクトが終了した際にも、比較的容易に仕事の調整ができることもメリットです。
プロジェクトの実施においては一時的に大量の仕事が発生する場面もありますので、長期・短期とリソースの調整がしやすい派遣や準委任契約をうまく利用することがポイントとなります。
高いプロジェクト管理スキルの人材を確保
派遣と聞くと、事務処理などの単純仕事をイメージする方も多いかもしれません。
しかしながら、派遣人材であっても経験値や高いスキルを保有されている方は多く存在します。
高度なIT人材を専門に扱う派遣会社などもありますので、経験のあるPMO人材を確保したい場合は活用を検討してみることをおすすめします。
PMOを専門として仕事や経験を積んでいる人材は、社内の人材と比較すると専門性や経験面で優れています。
上述の通り、どうしても社内人材は大規模プロジェクトでプロジェクト管理や業務の経験を積み、スキルやノウハウを獲得していくことが難しいという事情があります。
経験のある人材確保という観点でも派遣や準委任契約を活用するメリットがあるといえるでしょう。
外部人材による文化の輸入
プロジェクトが続き、進捗していくなかでは、どうしても仕事上で様々なトラブルを経験することになります。
プロジェクトを社内人材だけで進めようとすると、社内事情や過去の経験、通例などに囚われがちとなり、トラブルへの対応が画一的なものとなりやすいです。
特に大手企業になればなるほど、この傾向は顕著といえるでしょう。
外部から異なる経験を持つPMO人材を招聘することで、凝り固まった考え方を打破してくれる可能性があります。
プロジェクトの進め方においても、柔軟な思考を取り入れることができるでしょう。
1点、派遣や準委任契約にて人材を確保する場合には、指揮命令権について認識しておく必要があります。
派遣契約においては、派遣先の会社に指揮命令権があり、具体的な業務管理は派遣を受けた会社にて実施します。
また、残業なども制限されています。
一方で準委任契約においては、指揮命令権は派遣元企業にあり、派遣を受けた企業においては詳細な業務指示はできません。
優秀なPMO人材の見分け方
それでは、優秀なPMO人材を見分けるためには、どの様な観点を意識すればよいのでしょうか。以下では4つの観点を紹介します。
信頼感があるか
最も重要なのは人材の信頼感です。PMOの仕事は自分が働くというよりも、他の人に仕事してもらうことが主となります。
近年では在宅によるリモートワーク勤務により出社機会も減っており、コミュニケーションも難しくなっています。
このような状況でPMO業務を実施するためには、他のプロジェクトメンバーから信頼を得る必要があります。派遣を受ける人材が信頼できない人間であっては、PMOの仕事を任せることは難しいといえるでしょう。
面談などを通して、人柄やコミュニケーション能力、または誠実さなど様々な観点で「その人が信頼できるか」を確認することをおすすめします。
豊富な業務経験を有しているか
PMO人材の能力や働きぶりに直結するのが、過去の業務経験です。
PMO人材を評価する際に有効なのが、これまでの仕事経歴や担当業務などの実績・経験に関する情報をチェックすることです。
大規模プロジェクトでは、未経験の課題や思いもよらなかった問題が発生します。
このような際に、これまで様々なプロジェクトを通して多様な経験を積んでいるPMO人材は有望な戦力となるでしょう。
スキル・専門性は高いか
PMO人材として仕事をするためには、スキル・専門性が必要となります。よって、もちろんこれらの要素も重要な観点となります。
しかしながら、実際に業務を任せてみるまで、スキル・専門性を図ることは難しいといえるでしょう。
そこで参考になるのが、その人材が獲得している資格や経験・経歴による書類面での判断と、面談を通して感じられる印象面での判断の2つです。
書類面では、PMPやIPAのプロジェクトマネージャ試験、日本PMO協会が行っているPMC、PMS、PMRなどの資格など、プロジェクトマネジメントに関連する各種資格の取得状況を確認してみることをおすすめします。
また、事前面談を実施する際には、過去に担当した案件リストなどを元に具体的にどのような役割を経験していたかを質問し、保有していると思われるスキルを推測してみることも重要となるでしょう。
信頼できる会社か
PMO人材を集める方法として、フリーランスのPMOコンサルタントなど、個人で活動している人材を採用する方法もあります。
フリーのPMOコンサルタントにも一定のメリットはありますが、万が一病気などのトラブルが発生した場合に、代替人材を得ることが難しいというリスクがあります。
現実的には、大規模プロジェクトにおいては何らかの人的なトラブルが発生する可能性が高いと認識しておくべきです。
プロジェクトの立ち上げから終了まで同一のメンバーで継続することはあまりなく、何らか出入りが発生するものと考えなければなりません。
一方で、人材派遣会社やコンサルティングファームからPMO人材を集めることで、トラブルが発生した場合でも比較的リソースの入れ替えが容易となります。
また、追加でリソースが必要になった場合でも、容易に人員の追加を受けてくれるでしょう。
このような背景から、PMO人材を募集する際には、信頼できる企業に依頼することをおすすめします。
在宅OKな案件は「リモート可」として募集するのも一つの手
近年、PMO人材の中で、在宅勤務を希望する人材が増加しています。
この傾向は、ワークライフバランスの重視や、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの普及などが背景にあります。
優秀なPMO人材を確保するためには、この潮流に対応することも検討しましょう。
「リモート可」として求人募集や派遣会社に人材派遣を依頼することで、以下のメリットが期待できます。
- 人材プールの拡大:地理的な制約が緩和され、より広範囲から優秀な人材を集められます。
- コスト削減:オフィススペースの削減や通勤費の節約につながります。
- 生産性の向上:通勤時間の削減や柔軟な働き方により、PMOの生産性が向上する可能性があります。
- 優秀人材の確保:在宅勤務を希望する高スキルのPMO人材を引き付けることができます。
- 多様性の促進:育児や介護などの事情がある人材も参画しやすくなります。
ただし、リモートワークに適したプロジェクト管理ツールの導入や、コミュニケーション方法の確立など、適切な環境整備が必要です。
また、セキュリティ対策にも十分注意を払う必要があります。
派遣会社に依頼する際、リモートでも十分対応可能な案件の場合は、時代の変化に合わせた柔軟な採用戦略や条件を検討することをおすすめします。
まとめ
この記事では、PMO人材が不足している場合に活用できる派遣人材について紹介しました。PMO人材をはじめとしたIT人材の不足は今後ますます大きな課題となっていくと思われます。
プロジェクトの実施においては、人材派遣や準委任契約を活用して不足するリソースの補充を検討する必要に迫られるでしょう。
外部人材にプロジェクトに入ってもらうことは、自社人材へ良い影響を与えることにもつながります。
外部人材が保持しているスキルやノウハウを自社人材へ移転してもらうことも、外部人材を活用する一つのメリットになるかもしれません。