- ホーム>
- ITコンサルティング>
- システム開発 PMO>
- PMOとしても活躍!!ERP開発導入の経験がプロジェクト管理で活きる理由
公開日:2023.02.07(火) 更新日:
ERPの経験がPMOに活きる理由を実務家が解説
PMOとして働ける人材は基本的にどの業界でも需要が高いです。
どんな企業でも目的達成のためにプロジェクトが企画されます。
新規事業の開発、業務改革の推進、社内ITシステムの導入など、それぞれで具体的な内容は異なりますが、どんな企業でもプロジェクトは推進されています。
そして、プロジェクトを成功させる上で、PMOメンバーに求められる役割は重要です。特に大規模なプロジェクトの成功は難易度が高くPMOの力は必須と言えます。
計画通りの予算とスケジュールで求められる要件を達成することは難しく、PMOメンバーには高度なスキルと豊富な知識が求められます。
近年はERPの開発や導入のプロジェクトも多くなっており、ERP関連の経験を持っていればPMOとして引く手数多の人材になります。
PMOとは?
PMOとはProject Management Officeの略で、その名前の通りプロジェクト管理を担う組織です。
どんな企業でも基本的にはプロジェクトごとに配置させる組織であるため、名前を聞いたことがある人は多いと思います。
では、具体的にどんな業務を行っているのでしょうか?また、なぜERPの開発や導入を経験しておくことでPMOとして活躍できるのでしょうか?
PMOのシステム開発プロジェクトでの業務について
PMOは基本的に企業でプロジェクトを行う際は必ずと言っていいほど配置される組織です。
スケジュール、進捗、課題などプロジェクトを成功させるために必要な様々な要素を管理します。
しっかりと重要な情報を詳細に集めてマネジメントを行い、プロジェクト全体で有効に活用できるようにします。
具体的な作業内容としては、例えば以下が挙げられます。
- 会議の運営(ファシリテーション、議事録の作成)
- 新規参画メンバーのサポート、教育
- 情報管理と周知のための資料作成
- 顧客、パートナー企業との折衝
ただし、PMOの業務内容は非常に様々で、プロジェクトによっても異なります。
ここで挙げた例はほんの一部に過ぎません。プロジェクトによっては特殊な業務を担う場合もあります。
たとえばITプロジェクトでは稀ではありますが、要件の洗い出しや課題管理のためシステムのソースコードチェックがPMOのメンバーに求められることもあります。
基本的にマネジメントやコミュニケーション関連のスキルが重要になりますが、プロジェクトの状況に合わせた対応力もPMOメンバーに必要な能力となります。
ERPの開発や導入の経験者がPMOとして活躍できる理由
ERP導入は規模が大きくプロジェクトとして扱われることになります。
基本的に難易度も高いため、どの企業もPMOやERPのコンサルティング支援を必要とします。
一般的にはこの手のプロジェクトにPMOとして参画した場合は、クライアントの業界、業務、解決したい課題に合わせてERP製品を選定し企業に合わせて導入していく過程の管理業務を担います。
管理業務にはERPに関する専門性が求められるため、PMOメンバーにもERPの導入経験があることが望ましくなります。
ERPに関する開発や導入の経験を活かしPMOとして活躍していきたい場合は、特にERPに関する一般的な知識を身に着けておくことが重要です。
ERPシステムはSAPが最も有名ですが、そのほかにも数多くの製品が開発されています。
Microsoft、OracleなどもERPソリューションを提供しており、特定の業界、企業規模、業務に合わせた製品もリリースされています。
非常に数が多いため全てのERP製品に詳しくなることは現実的ではありません。
製品に関する深い知識ではなく、製品選定の考え方、追加開発の管理のポイント、導入の流れなどをERPに関わった経験を活かしてプロジェクトを支援していくことの方が顧客に自身の価値を出していく上で有効になります。
ERP製品を何か一つ導入した経験を持っているだけでも、PMOコンサルタントとして案件を獲得することは可能です。
どんな事例がある?ERP経験者のPMOとしての具体的な業務内容とは?
筆者も大学卒業後にERPソフトウェアの開発ベンダーに入社し、その後はPMOのコンサルタントとして働いています。
ERP関連のITプロジェクト案件は非常に多く、これまでに何度か経験をしてきました。一例を挙げると、新規開発した基幹システムと会計系ERPシステムを連携させる形で導入するプロジェクトに携わっています。
大手人材派遣会社のプロジェクトで、基幹システムで管理している債権データをERPシステムに連携し、ERPシステム側で入金消込業務を行えるようにするという要件がありました。
PMOにはクライアント企業の業務要件を細部まで理解し、導入するERP製品のキャッチアップした上で導入に向けたスケジュールと段取りの作成と実行が求められました。
具体的には主に以下の業務が発生しています。
- 業務担当者からの詳細な要件のヒアリング
- 選定したERP製品で業務要件の達成が可能かどうか確認
- 追加開発が必要な機能の定義と開発チームへの説明
- 追加開発のスケジュール、タスク、課題などの管理
- ユーザーの業務トレーニングに向けたマニュアルの作成
ERP製品の標準機能で達成できる要件と追加開発が必要になる部分の選別がPMOに求められるプロジェクトであったため、ERPの経験が非常に役に立つ案件でした。
ERPシステム関連のプロジェクトでPMOに直接プログラミングや設定作業などが任されることは基本的にはありませんが、経験を持っておくことで全体を俯瞰できるようになり管理業務をスムーズに行うことができます。
このようにERPに関する一般的な知識やスキルはPMO業務でも活かすことができます。
2025の崖とは?ERPコンサルタントの支援が今まさに必要
近年はERPシステム関連のプロジェクトが多く、その経験を持つ人材はPMOの一員として即戦力になることも可能です。
現代は多くの日本企業で最新のITシステム導入の遅れが問題視されており、経済産業省も「2025年の崖」という言葉で警鐘を鳴らしています。
日本企業のDX推進が遅れており2025年以降は年間最大で12兆円の損失が出てしまうというもの警戒するものです。
そのため、多くの企業でレガシーシステムからの脱却と最新のERPシステムの導入が検討されており、ERP関連の経験者は重宝されています。
レガシーシステムからの脱却を目指すITプロジェクトが多い理由
現代はレガシーシステム刷新のプロジェクトが多くなっています。
レガシーシステムとは一般的には過去の技術や仕組みで実装され、ブラックボックス化等の課題のある古いシステムを指します。
現代はDX推進が社会的に活発となっており、DXを取り入れたシステムやサービスの活用は企業が市場で存在価値を高めていく上で不可欠なものになっています。
しかし、日本では未だにレガシーシステムが使われている企業も多くDX導入の障害になっています。
まず、レガシーシステムは他システムとの連携が難しいものが多くなっています。
もともとデータ連携を想定して作られていなかったり、閉じられたネットワークの中で稼働させることを前提としていたりすることがその理由です。
近年のシステムはクラウドで実装されることが多く、サードパーティの提供するシステムやサービスと連動させることを前提としたものが主流となっており、連動ができない場合は価値が出しにくいシステムになります。
また、レガシーシステムでは最新技術の導入も難しいと言えます。近年はAI、IoT、ブロックチェーン、VRなど様々な技術がビジネスでも導入され新しい価値を生み出しています。
古いシステムではそもそもそのインフラが最新の技術に適していないという点や、古い技術と最新の技術の双方を扱えるエンジニアを獲得する必要がでてくることから、難易度が高くなります。
さらに新しい要件への対応も難しくなっています。レガシーシステムは長い間改修を繰り返してきたものになるため、機能が複雑化しています。
さらなる機能追加を行う場合は、不具合が発生する可能性も高く、テストにも膨大な時間とコストがかかります。
このようにレガシーシステムは特にDX導入の面で現代社会に適合していくことが難しいため、多くの企業が新しいシステムへの移行を検討しています。
古いSAPシステム刷新プロジェクトが増えていくことが予想される
前述のとおり、企業には現代社会のニーズに適応できる新しいシステムの導入が求められるため、システム刷新のプロジェクト案件が増えています。
今後も案件は増加していくことが予想されており、特に最新のERPシステム導入のプロジェクトが多くなっています。
この背景にはSAPのサポート期限が迫っていることが挙げられます。数あるERP製品の中でもSAPは世界中で特に需要が高くなっています。日本も例外ではなく数多くの企業でSAPは導入されています。
そのSAP製品である「ECC6.0」の標準保守期限は2027年末で終了することが発表されており、多くの企業ではその対応に迫られています。
業務システムの導入は時間がかかるため、既に多くの企業がそれぞれの方針に従い対応を進めています。
サポートが切れても継続して使い続ける企業もありますが、保守コスト増加が見込まれるなどの理由から他システムへ移行する場合がほとんどです。
最新版のシステムを導入する(SAPであれば、SAP S/4HANA)、他のERP製品を導入する、新たな基幹システムを構築する、などの方法が採用されることになります。
基本的にはどの手段であっても、ERPシステム刷新のプロジェクトではもちろんその知識やスキルを持つ人材が必要になります。
そのため、どのプロジェクト案件でもERP経験持つ人材であればPMOとして採用される可能性は非常に高くなります。
どんな仕事が多い?増えている求人の特徴に関して
ERP関連のPMO案件にはどのような内容のものが多いのでしょうか?担当領域や求められるスキル・経験を大手求人サイトで調べてみました。
まず担当領域に関しては、管理や報告などの業務を任されることが多いようです。例を挙げると以下のような内容になります。
- ビジネス要件の定義
- WBS作成
- 経営層向けの要約資料作成
- RFPの作成
- As-Is業務の可視化およびドキュメント作成
そして、求められる経験や知識としてはやはりERPに関係するものが多い印象です。
ERPプロジェクトは高い専門性が求められる領域となるため、PMOにも深いIT知識が要求されるものが多くなっています。
「開発マネージャーとしてのPJ参画経験」、「ERP導入プロジェクト経験」、「Webシステムの設計に関する知識」などが必須条件として記載されており、ITプロジェクト未経験で参画可能な案件はほとんどありません。
「Microsoft Dynamics 365の導入経験」、「SAP FIモジュールの導入経験」など特定の製品のプロジェクト経験者を求めるものもありました。
また、「英語でのドキュメント作成経験」、「会計領域の業務知識」、「アジャイルでの開発経験」などの知識や経験もプラスで求められる案件もあるようです。
ハードルはかなり高いと言えますが、逆に言えば企業が求める条件に該当する人材が少なくなります。そのため、ERP経験者にとっては獲得しやすい案件にもなります。
まとめ
ERP関連の知識やスキルはプロジェクト管理業務でも大きな強みになります。
ERPの開発や導入は社会的に需要があるため、今後も活躍の場は広がり続けることが予想されます。
そのため、ERPの経験がある方はネクストキャリアとしてPMOコンサルタントという職種もおすすめです。
PMOとしての経験を積むことができれば、さらに多種多様な案件に参画していくことも可能です。
間違いなく将来の可能性を広げ、キャリアを充実させていくことができます。