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- PMOエキスパートになる方法は?業務内容・必要スキル・収入を解説
公開日:2024.05.21(火) 更新日:
PMOエキスパートとは、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)における職種の一つ
PMOエキスパートとは、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)における職種の一つになります。
企業のプロジェクトなどで、プロジェクトマネジメントのスペシャリストとして活躍する人材です。
役割を果たしていく上でかなりの能力や経験が求められます。
業務と並行して継続的に知識やスキルのキャッチアップが必要です。非常に大変ではありますが、さまざまなプロジェクトに参画するチャンスがあり、仕事の幅を広げていきやすい魅力ある職種とも言えます。
今回はPMOエキスパートになる方法について解説します。
PMOエキスパートはプロジェクトのルール策定・標準化を行う業種
PMOエキスパートはマネジメントルールの策定、リソースの調整、チーム間で発生した問題解決などの業務を担います。PMO業務の中核を担う職種です。
出典:日本PMO協会|NPMO
PMOの定義
PMOとはその名前の通り「プロジェクトを管理するための組織」です。決められた予算と期間の中で目的を達成するためあらゆる策を講じる組織になります。
会社勤めであれば誰でもメールチェックや上司への作業報告などルーチンワークを経験します。
しかし、PMOの役割はこのようなルーチンワークだけではありません。決まったやり方は存在せず、常にプロジェクト全体を監視し状況に合わせて対応が必要です。
難易度は高いものが多く、プロジェクトが失敗することは珍しくありません。
PMOを導入し適切なマネジメントを実施していくことで成功率を挙げることは可能です。そのため、PMOは「プロジェクトを成功させるための組織」とも定義できます。
エキスパート以外のPMO職種
PMOにはエキスパート以外に「アドミニストレーター」と「マネージャー」という職種もあります。
まず、アドミニストレーターは主に事務作業を担う職種で、エキスパートのサポートなども担当します。
そして、マネージャーは、PMOメンバーであるアドミニストレーターやエキスパートを管理する上司のような存在です。
職種ごとに一般的な役割のイメージはありますが、実際にはプロジェクトごとに違いがあります。
場合によってはエキスパートがアドミニストレーターやマネージャーの役割を一部担うこともあるでしょう。
PMOとしてプロジェクトに参加する場合、どの職種で参加するにしても期待されている役割を初期段階で確認しておきましょう。
PMOとプロジェクトマネジメントの違いとは?
PMOコンサルタントとして働くのであれば、「PMO」と「プロジェクトマネジメント」の違いははっきり理解しておきましょう。
PMOは「組織」、「プロジェクトマネジメント」は「業務」を指します。どちらもPMO業務の中でよく使う言葉になります。
必要なスキル・業務経験
PMOエキスパートはクライアント側に適切なプロジェクトマネジメント手法を導入するコンサルタントです。
多くの知識やスキルを身に付けておくに越したことはありませんが、その全てを習得することは現実的ではありません。
決められた仕事をする職種ではなく、現場によって必要となる知識には違いがあります。ではどのように能力開発を進めていくべきでしょうか?
PMOエキスパートに活用できる資格一覧
資格を取得していなくてもPMOコンサルタントとして働くことは可能です。
ただ、資格もPMOコンサルタントとしての能力を高めていく目的で有効活用しましょう。
業務を通してのスキルアップは非常に効果的ですが、どうしても身に付けられるものに偏りが出ます。その反面、資格試験はPMOに必要な知識を包括的に学習可能です。
1.PMOスペシャリスト認定資格
プロジェクトマネジメント学習のため最初に取得を目指す認定資格としておすすめです。
レベル別にいくつかの資格に分かれています。一番簡単な「PMOスペシャリスト(★)™認定資格」はPMOに特化したエントリーモデルという位置づけです。
また、忙しい人でも無理なく学習や受験が可能なことも大きなメリットと言えます。Eラーニングで学習し、試験はオンラインとなっています。
一般社団法人日本PMO協会が運営している認定資格です。
日本PMO協会は認定資格の運営以外にプロジェクトマネジメントに関する研修・セミナー、PMOコンサルティングなども提供しています。
2.PMP
PMI(Project Magagement Institute)が提供する資格です。受験資格は以下の通りとなっており、他の資格と比較すると非常にハードルが高くなります。
- 35時間の公式研修を修了している
- 大卒の場合、受験申込から8年以内に36カ月(4,500時間)のプロジェクトマネジメントを経験している
- 高卒の場合、受験申込から8年以内に60カ月(7,500時間)のプロジェクトマネジメントを経験している
上記に加え、3年ごとに資格の更新も必要になります。更新するにはプロジェクトマネジメントを継続的に学習していることを証明する必要があります。
このように取得難易度は非常に高いと言えますが、その分確かなプロジェクトマネジメントスキルと経験が証明できることがメリットと言えるでしょう。
PMPは国際資格となっており、海外企業の採用プロセスでも評価される点も魅力です。
3.プロジェクトマネージャ試験
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が提供する資格です。本資格は特にIT関連のプロジェクトでPMOコンサルタントとして活躍していきたい方におすすめです。
主にシステム開発・導入のプロジェクトマネジメント業務で必要な知識を学べます。
本資格を提供するIPAはIT人材育成に取り組む組織です。
プロジェクトマネージャ試験以外にも基本情報技術者試験、ネットワークスペシャリスト試験、ITストラテジスト試験などIT関連の資格を数多く提供しています。
近年は特にIT分野に強いPMOコンサルタントの需要が高いです。
経済産業省の推計によるとIT人材は2030年時に約80万人不足します。
多くの企業がシステム開発・導入に力を入れていることから、ITプロジェクトで活躍できる人材は今後ますます貴重に存在となっていくことが予想されます。
年収はおおむね600〜700万円程度
年収に関しては誰もが気になるところでしょう。PMOの年収に関して解説します。
PMOは高い収入が期待できる
PMOコンサルタントが高収入であることは知っている人も多いでしょう。
ただどれくらい高いのかはよくわかっていない人もいるのではないでしょうか?興味がある人は多いと思うので具体的に確認してみましょう。
日本の給与所得者の平均給与と比較するとその具体的な数値がわかります。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5,078万人の平均給与は458万円とのことです。ではPMOコンサルタントの平均給与はどのくらいなのでしょうか?
求人サイトで調べてみましょう。大体600~700万程度のものが多いことがわかると思います。平均給与と比べると150~250万円ほど高いことになります。
また、indeedで「PM・PMO」で検索してみると、平均年収は2024年3月21日時点で約922万円です。プロジェクトマネジメント関連の職種は非常に高給になります。
正社員とフリーランスを比較するとどちらが上か?
PMOとして仕事をする場合、正社員とフリーランスを比較するとどちらが年収は高くなるのでしょうか?
まずは表面上の収入面だけを基準にこの問いに回答すると、正社員よりもフリーランスの方が年収は高くなることが多いです。
フリーランスのPMO案件を斡旋するサイトを確認してみましょう。
たとえば、INTLOOP社が提供するHigh Performerなどのサイトがあります。月収が100万を超える案件がほとんどで、フリーランス案件はかなりの高収入となっています。
ただし、収入面が高いため正社員よりもフリーランスの方を選択すべき良い結論にはなりません。この点は注意が必要です。
フリーランスは社会保険料などを自分で支払、確定申告などの事務作業も自分で実施する必要があります。
フリーランスの方が表面上の収入は大きいことは確かですが、発生するコストや作業も多くなります。
また、会社からスキルアップ関連の支援を受けられない点もフリーランスの大きなデメリットと言えるでしょう。長い目で見ると収入面にも影響します。
PMOとして成長していくためには様々な知識やスキルを身に付けていくことがポイントです。プロジェクトには経営、IT、業務改善など数多くの種類があります。
フリーランスの場合、自分自身で新しいスキルを身に付けていく方法を考える必要があります。
それに対し、正社員であれば会社が研修などを用意してくれるため、スキルを磨きやすいです。
案件の種類も豊富で、フリーランスよりも社員を優先してアサインします。
そのため、実務経験も積みやすい環境が整っていると言えるでしょう。結果、PMOとして成長しやすく、収入も上げやすくなります。
最終的な年収は?
PMOコンサルタントとしてのキャリアを積んでいくと、最終的にはかなりの収入が見込めます。
求人サイトでソート機能を使って収入順に案件を確認してみると、場合によっては年収が2000万円以上の求人が出ていることもあります。
どのタイミングで探しても1500万円以上のものは比較的容易に見つかるはずです。
もちろんPMOの収入は個人の能力に大きく依存します。誰でも高収入が得られるわけではありませんので、求人サイトで表示されている高額な年収は参考程度に考えておきましょう。
PMOエキスパートに向いている人の特徴
PMOコンサルタントの中でもエキスパートは特に重要なポジションです。
求められる役割、必要な能力、具体的な業務などについてその詳細を知っておきましょう。そこから向いている人の特徴をイメージできます。
能動的に動けることが最も重要
PMOエキスパートにはプロジェクトのタスクや課題に対してとにかく主体的に動ける力が必要です。
進捗確認や報告書の作成など定常業務ももちろんあるものの、突発的に発生する問題に適切に対応できるスキルが特に重要になります。
プロジェクトを成功させるためには、日々の業務だけでなく想定外のリスクや課題に対しても迅速な対応が必要です。
PMOはマネジメントが主な業務ですが、この業務自体は目的ではありません。あくまでもプロジェクトを成功させるための手段になります。
プロジェクトの要件、スケジュール、タスク、進捗、発生した問題などをPMOが適切に管理することで、リスクや問題が発生した場合も早期に検知可能です。
検知したリスクや問題は早めに対応できればできるほど解決も容易になります。エキスパートには日々のPMO業務の中で発生したタスクや問題に能動的に取り組む姿勢が求められます。
最も必要なスキルとは?
最も重要となるスキルは「想定外への対応力」と言えます。想定外の問題を解決していく上で中心的な役割を担えるかどうかが、PMOエキスパートとして高い評価を得る上で非常に重要です。
プロジェクトが始まると、まずは計画を立てます。要件は何か、どんな手段を選択するか、スケジュールやスコープはどうするか、などを具体的に決定していきます。
しかし、プロジェクトが計画通りに進むことはありません。
想定外の問題が発生した場合、その都度計画の調整が必要です。
PMOエキスパートはこの仕事で大きな役割を担います。解決手段の検討、その実行、PMやPOなどとのスケジュールやスコープに関するネゴシエーションなどの業務を担当します。
想定外の問題とは具体的にどんなものか?
たとえば、システム開発プロジェクトのテスト工程でユーザーと合意した要件の実装が漏れていたことが発覚することがあります。このような場合、以下のような対応案が検討されます。
- スケジュールの延長(システムリリース日を遅らせて、機能を開発する)
- 業務で暫定対応(システム上で実装されなかった機能をユーザーが手作業で対応する)
- エンジニアの追加投入(予定通りの期日までに漏れた機能を実装する)
どの方法を選択するにしても追加コストなどのデメリットがります。またそれぞれにリスクもあるため、早期検知および対応が求められます。
プロジェクトに合わせた最適な方法の検討が必要です。その上で適切なステークホルダーに説明し、承認を受けた上で対応を進めます。
記事まとめ
今回はPMOエキスパートについて解説しました。重要な役割を担うため、高い能力が必要なポジションです。その分やりがいも強く感じられる職種になります。