- ホーム>
- ITコンサルティング>
- システム開発 PMO>
- PMOの将来性とは?需要が高い理由と市場価値を高める6つのスキルも解説
公開日:2024.07.29(月) 更新日:
PMOの需要と将来性について、DXの加速とプロジェクトの多様化・複雑化の観点から考察
PMOは、高度な専門知識とコミュニケーション能力を駆使し、プロジェクトの戦略的マネジメントを担う重要な存在として認識されつつあります。
この記事では、PMOの需要と将来性について、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速とプロジェクトの多様化・複雑化の観点から考察します。
また、PMOとしてのスキルアップとキャリア選択についても探っていきます。
PMOを目指す方や、ビジネスにおけるプロジェクトマネジメントの重要性に関心がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
PMOの需要は増えており、将来性も明るいと予想できる
現在、デジタル化の加速とビジネス環境の急激な変化を背景として、プロジェクトマネジメントの需要は増加傾向にあります。
それに伴い、プロジェクト成功率を高め、ビジネスの目標達成を支援する役割としてPMOが注目を集めているのです。
戦略的な視点を持ち、高い専門性とコミュニケーション能力を兼ね備えたPMOは、今後ますます需要が高まると予想できます。
ここでは、PMOの将来性を、DXとプロジェクトの多様化の2つの観点から解説します。
DX分野における需要の高まり
日本企業のDXへの関心の高まりは、PMOの需要増加に直結しています。
経済産業省が公開している「デジタルガバナンス・コード2.0」では、「企業文化、働き方の変革」(21.6%から30.4%に増加)や「ビジネスモデルの変革」(18.2%から27.7%に増加)を目的として、DXを推進する企業が増えていることが示されています。
また、DXに関連する取り組みが行われている範囲についても、2020年度には全業種・規模で拡大していることがわかります。
例えば、全社的な取り組みを行っている企業の割合は、製造業で27.7%から56.1%に、情報通信業で49.0%から64.5%に増加しているのです。
このように、コロナ禍の影響もあり、日本企業においてDXへの関心と取り組みが組織的に進展しつつあることが、デジタルガバナンス・コード2.0から読み取れます。
一方で、推進上の課題として人材不足を挙げる企業が53.1%に上るなど、DXの本格的な実現に向けてはまだ多くの課題が残されているとも言えます。
こうした中、PMOの役割に大きな期待が寄せられているのです。
PMOの役割とDX人材不足の解消
PMOは、プロジェクトマネジメントに関する専門的な知識とスキルを持った組織です。主な役割は以下の通りです。
- プロジェクトの計画立案、進捗管理、課題解決のサポート
- 社内の関連部署間の調整
- 社内外のステークホルダーとのコミュニケーション
- ベストプラクティスの共有、プロジェクトマネジメント手法の標準化
DX推進では複数のプロジェクトを同時並行で進める必要があるため、個々のプロジェクトリーダーの負荷が高くなりがちです。
そこで、PMOがプロジェクト間の調整役となることで、DX人材不足を補完し、限られた人的リソースを有効活用することができます。
また、PMOがナレッジの集約と展開を行うことで、社内のDX人材の育成にも貢献できます。
このように、DX推進のための専門人材が不足する中で、プロジェクト成功の鍵を握るPMOは、DX推進の要となる組織として注目を集めているのです。
プロジェクトの多様化と複雑化による需要増加
総務省の令和3年版「情報通信白書」によると、デジタル技術の急速な発展と普及に伴い、日本企業においてもAI、IoT、クラウド、RPAといったデジタル技術を活用したプロジェクトが増加しています。
このような状況下で、デジタル技術を用いたプロジェクトは多様化・複雑化の一途をたどっています。
プロジェクトの目的が業務効率化から新たな価値創出へと拡大するに従い、複数部門や外部パートナーとの連携が不可欠となり、プロジェクト管理の難易度が高くなっているのです。
加えて、デジタル技術自体の進化が速いため、プロジェクトに求められるスキルセットも刻々と変化しています。
こうした環境の中で、プロジェクトを成功に導くためには、PMOの存在が欠かせません。
日本企業が競争力を維持・強化するためには、デジタル技術を活用した多様で複雑なプロジェクトを確実に遂行することが必要不可欠です。
そのため、プロジェクトマネジメントの専門組織であるPMOの需要が高まっており、今後もその傾向は続くと予想されます。
企業は、PMOの設置や育成に積極的に取り組むことで、デジタル時代に適応した組織づくりを進めていくことが求められています。
参考:企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題
総合力の高いPMOは市場価値が高い
以上のように、DX推進やデジタル技術の進化に伴うプロジェクトの多様化と複雑化を背景として、PMOの需要は増加傾向にあり、将来性も非常に明るいと言えます。
変化の激しい時代において、イノベーションを推進し、組織の変革をけん引できるPMOの価値は、ますます高まっていくでしょう。
この急激な変化の中で、PMOには従来の枠組みにとらわれない柔軟な思考と、イノベーションを推進する能力が求められます。
新しい技術やマネジメント手法を積極的に取り入れ、プロジェクトの付加価値を高めていくことが重要になります。
また、プロジェクトマネジメントの価値が組織全体で認識されるようになり、PMOの役割がますます重視されています。
PMOは、個々のプロジェクトの成功だけでなく、組織のプロジェクト遂行能力の向上にも大きく貢献します。
プロジェクトマネジメントのベストプラクティスを組織に定着させ、人材育成を推進することで、組織の競争力の強化に寄与することができるのです。
戦略的な視点を持ち、組織の変革を促進できる総合力の高いPMOは、企業の持続的成長を支える重要な存在として、今後ますます需要が拡大していくでしょう。
市場価値を高める6つのスキル
PMOの将来性や需要の高さについて、ご理解いただけたでしょうか。
PMOの市場価値をさらに高めるためには、プロジェクトマネジメントの専門スキルに加え、様々な経験や能力が必要です。
大規模プロジェクトでの実績やチームマネジメントの経験、ベンダーとユーザーの両面の理解、SAP導入の知見、ステークホルダーとの交渉力、そしてグローバルに通用する英語力。
これらのスキルを持っているPMOは、組織の変革とイノベーションを推進するキーパーソンとなるはずです。
ここでは、PMOの市場価値と将来性を高める6つのスキルについて、それぞれ紹介していきます。
大規模プロジェクトでのPMO経験
複雑で大規模なプロジェクトを成功に導いた経験は、PMOの市場価値を大きく高めます。
PMOには、多数のステークホルダーや関連システム、プロセスが絡み合う中で、全体を俯瞰しながら適切にマネジメントできる能力が問われます。
リスクや課題を早期に特定するスキルはもちろん、効果的な対策を講じる判断力も重要です。
大規模プロジェクトでの実績は、PMOの問題解決力とリーダーシップを証明する強い武器となります。
メンバーマネジメントとチームビルディング経験
優れたPMOは、プロジェクトチームのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
PMOには、メンバー一人ひとりの強みを活かしながら、チームとしての一体感を生み出す能力が求められます。
モチベーションを高め、自発的な行動を促すコミュニケーションスキルも重要です。
多様なバックグラウンドを持つメンバーをまとめ上げ、シナジーを生み出すチームビルディングの経験は、PMOの市場価値を高める要素のひとつと言えるでしょう。
ベンダーサイド・ユーザーサイド双方でのPMO経験
システム開発のベンダーサイド(受注者側)とユーザーサイド(発注者側)、それぞれの立場を経験したPMOは、プロジェクトを多角的に捉えられます。
ベンダーサイドの視点からは、技術的な実現可能性や開発プロセスの最適化を検討できます。
一方、ユーザーサイドの観点では、ビジネス要求の本質を理解し、現場の課題にマッチしたソリューションを提案することができます。
この双方向の理解は、プロジェクトの品質と効率を高め、ステークホルダーの満足度を引き上げます。
両サイドの経験と多角的な視野を持つPMOは、市場で高く評価されるでしょう。
SAP導入プロジェクトの経験
グローバル企業の基幹システムとして広く採用されているSAP。その導入プロジェクトを成功裏に遂行した経験は、PMOの専門性を示す重要な基準のひとつです。
SAPは機能が豊富で設定が複雑なため、導入には高度な専門性が求められます。
また、基幹システムであるSAPの導入は、企業の業績や競争力に直結するビジネスインパクトの大きいプロジェクトです。
SAP導入では業務プロセスや組織文化の変革も伴うため、チェンジマネジメントの経験も重視されます。
また、SAPはグローバル企業での導入が多いことから、国際的なプロジェクトマネジメントの経験も評価されるでしょう。
さらに、SAP導入のベストプラクティスの知見は、他のプロジェクトでも応用できる強みとなります。
このように、SAP導入の経験は、PMOの専門性と問題解決力、チェンジマネジメント能力、グローバル対応力を示す指標となり、PMOの市場価値と将来性を大きく広げる武器になるのです。
ステークホルダーとの交渉力・調整スキル
プロジェクトには、経営層、事業部門、開発チーム、外部ベンダーなど、様々な利害関係者が関わります。
PMOは、それぞれの立場を理解し、プロジェクトの目標に沿った形で調整を図る必要があります。
優れた交渉力・調整スキルを持つPMOは、ステークホルダー間の対立を解消し、合意形成を進めることができるのです。
また、説得力のあるコミュニケーションで、ステークホルダーの理解と協力を引き出すこともできるでしょう。
交渉力と調整スキルは、リソースの確保や意思決定の迅速化にも貢献します。
複雑な利害関係を調整し、プロジェクトを前進させる能力は、PMOに求められる重要なリーダーシップです。
交渉・調整スキルを磨き、信頼されるPMOは、市場で高く評価されるでしょう。
ビジネスレベルの英語力
グローバルプロジェクトが当たり前になった今、それに対応できる英語力もPMOの市場価値を高めるひとつのスキルとなります。
海外拠点とのやり取りから、国際会議での提案まで、あらゆる場面で高度な英語力が求められています。
そのため、英語での正確かつ説得力あるコミュニケーションが可能であれば、プロジェクトの円滑な進行と成功に大きく貢献することができるはずです。
また、英語の文献から最新のマネジメント手法や業界動向を学ぶことも、PMOの成長に効果的です。優れた英語力を持つPMOは、グローバル市場で大きな価値を発揮するでしょう。
キャリアパスの選択肢
PMOとしてのスキルと経験を積むことは、キャリアの選択肢を大きく広げることにつながります。
プロジェクトマネジメントの専門性は、様々な業界や職種で高く評価されるため、PMOは多様なキャリアパスを描くことができます。
ここでは、PMOがキャリアアップを目指す上で考えられる主なキャリアパスについて解説します。
社内での昇進や、コンサルティングファームへの転身、事業会社での活躍など、PMOのスキルを活かせる場は多岐にわたります。
また、専門分野を極めたり、経営層を目指すなど、PMOの経験を土台に、さらなる飛躍を遂げることも可能です。
社内でのキャリアアップ
PMOとして実績を積み、組織内で認知度が高まれば、社内でのキャリアアップのチャンスが広がります。
プロジェクトマネジメントのスキルは、部門を越えて広く役立つため、他部署への異動や昇進の可能性が開けるでしょう。
例えば、PMOとしての経験を評価され、プロジェクトマネージャーやプログラムマネージャーへステップアップするケースがあります。
さらに、組織全体のプロジェクトマネジメントを統括するエンタープライズPMO(EPMO)の一員として、より戦略的な役割を担うことも考えられます。
PMOとしての専門性とリーダーシップを発揮し、社内で着実にキャリアを重ねていくことは、有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。
コンサルティングファームへの転職
PMOの経験とスキルは、コンサルティング業界でも非常に需要が高くなっています。
特にITコンサルティングの分野では、プロジェクトマネジメントの知見を持つ人材が欠かせません。
大手コンサルティングファームでは、クライアント企業のプロジェクトを支援するPMOコンサルタントとして活躍できる機会が数多くあります。
また、戦略コンサルティングの領域でも、PMOの経験を活かしてプロジェクトベースでの改革の実行を支援するなど、活躍の場は広がっています。
逆に、コンサルタントとしての経験が、業界知識や人脈を広げるとともに、PMOとしてのスキルをさらに磨く機会にもなるとも考えることができます。
事業会社への転職
PMOの経験は、事業会社においても大きな武器になります。
特に、プロジェクトマネジメントの体制強化が必要な企業では、PMOの知見を活かして組織の変革を推進する役割が期待されます。
例えば、製造業やサービス業など、様々な業種の企業で、PMO部門の立ち上げや強化を任されるケースがあります。
また、事業部門に異動し、新規事業の立ち上げやM&Aなど、戦略的なプロジェクトをリードする機会も考えられます。
PMOとしての経験を土台に、事業会社で新たな価値創造に挑戦することは、キャリアの可能性を大きく広げる選択肢でしょう。
フリーランスとして独立
PMOとしての経験とスキルに自信があれば、フリーランスとして独立することも一つの選択肢です。
特に、大規模プロジェクトの経験やSAPなどの専門分野での実績があれば、市場での需要は高いでしょう。
フリーランスのPMOは、複数の企業のプロジェクトを同時に支援することができ、幅広い業界知識とネットワークを築くことができます。
また、セミナーや研修の講師として、PMOの知見を広く共有する機会も増えるでしょう。
フリーランスになれば、自分の裁量で仕事を選び、スキルを磨くことができます。
独立することで、PMOとしてのキャリアをさらに深化させ、市場での価値を高めていくことが可能です。
専門分野への特化
PMOとしての経験を積む中で、特定の専門分野に強みを見出すこともあるでしょう。
例えば、アジャイル開発のプロジェクトマネジメントに長けていたり、SAP導入の経験が豊富だったりする場合、その分野に特化してキャリアを深めていくことも考えられます。
専門分野で高い知見とスキルを持つPMOは、市場でも高い価値を持ちます。
特定の業界に精通したPMOとして、その業界のプロジェクトに特化するのも一つの選択肢です。
金融や医療、公共分野など、業界特有の知識が求められる領域では、専門性の高いPMOが重宝されます。
PMOとしての経験を土台に、専門分野を極めることで、キャリアの独自性を高めていくことができるでしょう。
経営層への昇進
PMOの経験は、経営層を目指すキャリアパスにもつながります。
プロジェクトマネジメントを通じて、事業戦略の立案や実行に深く関与するPMOは、経営に近い位置で活躍することができます。
PMOとしての実績が認められ、事業部長や執行役員など、経営層へ昇進するケースも珍しくありません。
また、最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)など、技術的な側面から経営に関わる役割を目指すこともできるでしょう。
PMOの経験は、事業とプロジェクトの両面で深い理解を持つリーダーとなるための土台になります。
経営の視点を持ち、組織の成長を牽引する。 PMOからの経営層への昇進は、キャリアの究極の目標と言えるかもしれません。
PMOの需要と将来性のまとめ
この記事では、PMOの需要と将来性、スキルアップ、キャリアパスについて詳しく解説してきました。
ビジネス環境のダイナミックな変化の中で、PMOは組織の変革とプロジェクト成功の鍵を握る存在としてますます注目される存在となっています。
DXの加速やプロジェクトの複雑化に伴い、PMOの需要は今後さらに高まっていくことが予想できるのです。
また、PMOとしてのキャリアを積むことで、社内での昇進、コンサルティングファームや事業会社への転職、フリーランスとしての独立、専門分野への特化、さらには経営層を目指すなど、多様なキャリアパスが開けます。
変化の激しい現代において、PMOに求められるのは、イノベーションを推進し、組織の変革をリードする力です。
PMOとしてのスキルと経験を磨き、キャリアの可能性を広げていくことが、ビジネスの未来を切り拓く鍵となるでしょう。