- ホーム>
- ITコンサルティング>
- システム開発 PMO>
- PMOは嫌われる?嫌われる原因や良いPMOの心得を詳しく紹介
公開日:2025.03.21(金) 更新日:
PMOが嫌われるとプロジェクトは失敗する?嫌われるPMOの特徴や良いPMOの心得を事例を交えて解説

PMOが嫌われているとプロジェクトがどのようになるかご存じですか?
PMOはプロジェクトの成功を支援する組織ですが、嫌われるとプロジェクトが失敗するおそれがあります。
この記事では、嫌われるPMOの特徴と良いPMOの心得、事例を紹介します。
PMOとは
PMO(Project Management Office)とは、プロジェクトを直接的・間接的に支援し、成功に導く専門組織です。
PMOは全社のプロジェクトを横断的に支援し、プロジェクトの品質を一定以上に保ちつつ成功させる役割を担います。
生成AIや働き方改革に伴い、プロジェクトも急激な要件変更や短い納期といった多様化が進んでいます。
PMOの専門的な支援はこれらの多様なプロジェクトに対応するために有効といえるでしょう。
PMOの役割
PMOは主に以下の施策によりプロジェクトを成功に導きます。
- PMを直接支援し、PMがプロジェクトマネジメントに専念できる環境を作る
- マネジメント標準を制定し、全社のプロジェクトマネジメント能力を向上させる
特にマネジメント能力の向上は全社のプロジェクトをスムーズに推進するため、間接的な支援といえます。
PMOはプロジェクトを直接的・間接的に支え、プロジェクトを下支えする役割といえるでしょう。
PMOとPMの違い
PMは特定プロジェクトの責任者で、QCDといったプロジェクトの成功に責任を持ちます。
PMOはプロジェクトの支援者で、プロジェクトが成功するようにPMを支援します。
PMOの職種は主に次の3つです。
- PMOアドミニストレータ
- PMOエキスパート
- PMOマネージャ
プロジェクトに直接かかわるのは、PMOアドミニストレータとPMOエキスパートです。
PMOの支援によりPMの負担が軽減され、重要な決定を迅速に下すことが可能になります。
詳しい役割の違いは以下のリンクをご参照ください。
PMとPMOはいずれもプロジェクトを成功させるための役割ですが、責任者と支援者という立場と責任の違いがあります。
異なる立場ですが、PMとPMOがお互いを尊重し、役割を果たすことでプロジェクトを成功に導くことができるのです。
PMOが嫌われる理由
PMOは嫌われるといわれますが、それは責任の所在によるものがほとんどです。
PMはプロジェクトにおけるQCDの達成といった責任を負います。
一方、PMOは支援者のため、プロジェクトが失敗しても責任を問われることはほとんどありません。
そのため、以下のように責任感のないふるまいのPMOが嫌われるのです。
- 他人事としてプロジェクトに関わる
- 指摘ばかりで解決案を提示しない
- プロジェクトの事情を考えず事務的に振舞う
プロジェクトは関係者全員が協力して推進していく企業活動です。
プロジェクトに協力的でないPMOは歓迎されることはないでしょう。
ダメなPMOの事例
ここではダメなPMOの事例を紹介します。
解決方法を提示しない
プロジェクトの問題点を指摘するだけのPMOは、PMやプロジェクトメンバーから歓迎されません。
指摘だけではPMやプロジェクトメンバーが解決策を全て考える必要があります。
結果として、指摘に対する報告や対応が増えPMやプロジェクトメンバーの負担が増大します。
以下は実際に解決策を提示しないプロジェクトで発生した事例です。
解決方法を提示せず指摘のみが行われているプロジェクトで、PMが解決方法を全て調査し報告するといった負荷が増大しました。
これ以上の負担増を避けるためにPMが問題点を報告せずに隠ぺいしたのです。
問題の隠ぺいにより発覚が遅れ、納期遅延というプロジェクト失敗の原因となりました。
PMOとして問題点を発見することは重要ですが、必要なのはプロジェクトのスムーズな推進と成功です。
PMOのノウハウをもとにした解決方法がなければ、PMOが支援してもプロジェクトが失敗する可能性が高まるのです。
コミュニケーションが不足
プロジェクトを成功させるためには、関係者と十分なコミュニケーションをとる必要があります。
PMOの役割の1つがコミュニケーション管理で、進捗報告や会議内容の周知、課題や問題の進捗状況の共有です。
情報共有が適切でない場合、最新の資料を配布しなかったり、古い資料のまま報告したりして本当のプロジェクト推進に支障をきたすおそれがあります。
実際にコミュニケーション不足が発生したプロジェクトでは、古い資料を元に要員計画した結果、プロジェクト人員が不足した事例があります。
遅延への解決方法としてPMが関係者に最新の情報を説明した上で、大量に増員しプロジェクトを無理やり完了させる事態になりました。
納期にはかろうじて間に合ったものの、コストの大幅超過によりプロジェクトは失敗に終わりました。
PMOの不適切な支援がプロジェクトを失敗させる事例と言えるでしょう。
良いPMOの心得
良いPMOとはプロジェクトを円滑に推進させる組織です。
次のような心構えでプロジェクトを支援すると良いでしょう。
- 指摘するだけでなく、解決策の提示やアドバイスを行う
- 支援に徹する
リスクや課題に対して今までの経験やマネジメント手法を用いた解決方法を提示すれば、プロジェクトを成功させる確率が高くなります。
解決策が提示できない場合でも、PMと協力して解決するための方法を模索すれば、チームが一丸となりモチベーションを向上させる効果が期待できるでしょう。
また、プロジェクトはPMとプロジェクトメンバーが当事者になります。
PMOはあくまでも支援に徹し、プロジェクトが成功しても自らの手柄としない慎ましさが必要です。
良いPMOの事例
ここでは良いPMOの事例を紹介します。
解決策のアドバイスをくれる
PMOはさまざまなプロジェクトに関わるため、多くの問題点に対する解決方法を蓄積しています。
蓄積したノウハウにより的確な解決方法をアドバイスすれば、スムーズなプロジェクト推進が可能です。
解決策のアドバイスにより成功したプロジェクトの事例です。
システム構築プロジェクトにて、数百台を超える大量の端末設定が含まれているプロジェクトがありました。
端末は全て同じセットアップ方法ですが、以下の課題を抱えていたのです。
- 大量の時間と広い場所が必要
- 設定が個人任せになり品質が一定にならない
この課題に対してPMOが提示した解決方法は「クロスチェックしながら正常な1台の端末を作り、残りはすべて複製(クローニング)する」というものでした。
この解決方法により、同じ設定の端末が大量に準備でき工数が大幅に短縮されたのです。
十分な品質検査を行う余裕が生まれ、大幅な利益率の向上と質の高いサービスを提供しプロジェクトは大成功を収めました。
客観的な解決方法のアドバイスは、プロジェクトの成功に有効であるといえるでしょう。
交渉や調整をしてくれる
プロジェクトにはさまざまな関係者との交渉や調整が必要不可欠です。
ひとたび、プロジェクトが遅延すれば優秀な設計者や開発者をオファーしなければリカバリできないケースもあるでしょう。
当初の計画にない要員追加は、他プロジェクトとの交渉や調整が必要であり、PMにとって大きな負担です。
そのため、交渉や調整を請け負ってくれるPMOは、PMの負荷軽減とプロジェクトのスムーズな推進に有効です。
納期が大幅に遅延する見込みのプロジェクトがありました。
急遽PMOに支援依頼があり調査を開始したところ、当初の計画の甘さから深刻な人員不足に陥っていることが判明しました。
しかも、PMが新任のため人員の調整方法がわからずプロジェクトが停滞していたのです。
さまざまな部署と信頼関係のあるPMOエキスパートが支援を申し出て、他部署との交渉と調整を請け負いました。
結果、他部署と協力会社からの増員を獲得し、何とか納期に合ったのです。
このように、相手との信頼関係を持つPMOによる交渉や調整は、プロジェクト推進に大きな手助けとなるでしょう。
記事のまとめ
PMOが嫌われるとプロジェクトが失敗する可能性が高くなります。
PMOが嫌われるケースは支援するプロジェクトに寄り添った対応ができない場合がほとんどです。
PMもPMOを目的はプロジェクトの成功です。
PMOの親身な支援は、PMから嫌われることなく信頼とプロジェクト成功のどちらも勝ち取ることができるでしょう。