ITプロジェクトにおけるPMOとは?役割や必要性、導入するメリットを紹介

公開日:2024.03.30(土) 更新日:

PMOとは「Project Management Office」の略で、プロジェクトのマネジメントが主な役割となるチームのこと

ITプロジェクトにおけるPMOとは?役割や必要性、導入するメリットを紹介

PMOとは「Project Management Office」の頭文字を取った言葉です。

その名前の通りプロジェクトのマネジメントが主な役割となるチームを指します。

近年企業では特にシステム開発や導入などが多く企画・推進されており、ITプロジェクトで活躍できるPMOコンサルの需要が高まっています。

今回はITプロジェクトにフォーカスし、PMOの役割やメリットについて解説します。

ITプロジェクトにおけるPMOとは

ITプロジェクトにおけるPMOとは

企業ではDX推進、ERPシステムの構築、会計ソフトの導入などさまざまなITプロジェクトが同時並行で進んでおり、少なくとも数十人規模以上のメンバーで推進するものがほとんどです。

そのため、PMOの設置は必須と言っても過言ではありません。

ITプロジェクトでのPMOの役割

現代のITプロジェクトは、企業へ導入するシステムの開発案件が最も多いと考えられます。たとえば、PMOは以下のような役割を担います。

  • システム開発全体のスケジュール、予算、スコープなどの調整
  • SEのWBS作成やリソース調整
  • システム開発中に発生した課題の把握、対応スケジュールや手段の調整

ITプロジェクトのPMOメンバーになるには、システム開発プロセスに対する深い知識と経験が必要です。

業務担当者との調整なども求められますが、特にSEやプログラマーなどと一緒に仕事をすることが多くなります。

そのため、上記のような開発側のPMOの場合は、システム開発未経験だと採用されない案件もあります。

ITプロジェクトのPMO人材は市場価値が高い

ITプロジェクトで活躍できるスキルや経験はPMOとして働く上での大きなアドバンテージになります。

IT導入に力を入れる企業が非常に多い時代であるということがその最大の理由です。

基本的に企業は独自のIT戦略を策定し、中長期的なシステム開発・導入を推進しています。

特にDX推進は社会的に流行しており、今やビジネスでも必要不可欠な技術となっています。

たとえば、先進的なパッケージやツールの導入、データ連携による業務の自動化、効率化が実現可能です。

また、コスト削減や新しい付加価値の創出にも繋がっています。そのため、企業のITプロジェクトは今後も増えていくことが予想されます。

PMOの職種とは?

PMOの職種とは?

PMOの役割は無数にあります。そのため、職種ごとに仕事を分担する場合が多いです。職種の呼称はプロジェクトによって異なりますが、以下3つが一般的です。

アドミニストレーター

事務作業を担当します。関係者のスケジュール調整、定例の議事録作成、新規参画者のキャッチアップ支援などが業務になります。

細かい作業が多いですが、どれもプロジェクト推進のために欠かせないものです。ITプロジェクトでは特にクラウドサービスなどのアカウント管理も任されます。

ソースコード管理のためGithubやSubversion、タスクや課題管理のためRedmineやJIRAなど多くのITツールを利用します。

プロジェクトを推進するためには適切な権限設定などが重要になります。

エキスパート

プロジェクトマネジメントの中核となる業務を担当します。

具体的には業務は多岐に渡りますが、一言で言えばプロジェクトの推進がメインの役割です。たとえば、以下のような作業を担当します。

  • プロジェクト全体の進捗確認
  • プロジェクトマネージャーやオーナーへの報告書作成
  • チーム間のタスクや課題対応の推進

エキスパートには定常業務だけでなく、プロジェクトの状況に合わせてタスクや課題に対処できる力が求められます。

どんなプロジェクトでも想定外の問題は発生します。そのような場合、解決方法の検討やその推進も役割となります。

マネージャー

PMOメンバーの管理が主な業務になります。PMとよく混同されますが違う役職です。

PMは、PMOの責任者という立場になり、

  • メンバーへの仕事のアサイン
  • プロジェクトマネジメント手法の策定
  • PMOの成果物チェック

などが主な業務になります。基本的には手を動かすことは少なく、メンバーに業務を実施させることが仕事です。

ただしプロジェクトのスケジュールや予算に大きく影響する重要な業務に関しては、自ら現場に入って作業することもあります。

PMとの違い

PMとは「プロジェクトマネージャー」を指す言葉でPMOとは異なります。

PMは組織の名称ではなく人の役職であり、基本的に一つのプロジェクトにつき一人です。

プロジェクトの責任者というポジションで、PMOはこのPMの業務をサポートする立場になります。

PMOはプロジェクトマネジメント業務を推進しますが、通常その方法に関しては責任者であるPMからの承認が必要です。

また、重大な問題が発生した場合もPMにその報告とソリューションの提案を行い、承認された手段で推進します。

出典:日本PMO協会|NPMO

ITプロジェクトにPMOは必要?

ITプロジェクトにPMOは必要?

多くの人が知っての通り、全てのプロジェクトにPMOが配置されるわけではありません。

そのため、ITプロジェクトでも同様にPMOが不要なものもあると考えている人は多いでしょう。

しかし結論を言えば、多くのITプロジェクトでPMOが組織されております。

PMOが必要な理由を具体的に紹介

ITプロジェクトにPMOが必要な理由は、端的に言うと「大規模なプロジェクトになることが多い」からです。

企業にシステムを導入する場合を想像してみましょう。基本的に要件定義、設計、実装、テスト、運用・保守の各フェーズで核となる業務を担当するメンバーは異なります。

たとえば、要件定義フェーズでは経営者や業務担当者がビジネスに必要な要件を洗い出します。

実装フェーズでは、プログラマーが設計書に沿ってプログラミング作業などを進めます。

その他にもクライアント、バックオフィス担当者、SaaS型サービスの提供ベンダーなど様々なステークホルダーがプロジェクトに加わることになります。

このようにITプロジェクトは多くのメンバーが関わることが特徴です。

必然的にタスクや課題も増えることになり、全体を管理するための組織が必須になります。

ITプロジェクトを成功させる上で、PMOは必須と言っていいほど重要な組織になります。

導入するメリット3つ

導入するメリット3つ

PMO導入には無数のメリットがありますが、その目的はプロジェクトによって異なります。ここでは特に大きな導入効果が見込める点を解説します。現場によって重視すべきポイントは異なるため、目的を明確にして適切なPMOを組織しましょう。

プロジェクト失敗を食い止められる

プロジェクトを成功させるには管理が重要になります。

たとえ途中で想定外の問題が発生し予定通りの成果物が作れなくなったとしても、管理することで最低限の目的を達成可能です。

たとえば、私が過去に所属していた請求書システムの開発プロジェクトで、PMOのスコープ管理によってプロジェクト失敗を免れた事例があります。

このプロジェクトでは、システムリリース直前に請求機能の計算ロジックに不具合があることが発覚しました。

期限までの全不具合の修正は不可能だったため、PMOでスコープ調整を行っています。

画面に正しい請求計算結果を出力するプログラム修正に注力し、帳票作成(PDF出力)機能の修正は後回しにしました。

結果、画面を見ながら手書きの請求書を作成する形で、何とかスケジュール通りでシステムを稼働開始させています。

このように問題が発生したとしてもしっかりマネジメントしておくことで調整が可能になり、結果最低限の要件を達成できます。

全体の生産性を向上させる

生産性向上もPMOを導入する理由の一つです。

PMOを作ることで、プロジェクト内部の業務を効率化できます。

業務効率化の手段は数多くありますが、適切なものは当然プロジェクトによって異なります。そのため、現場に適したソリューションの導入が必要です。

その検討もPMOの仕事の一つになります。

業務効率化施策の具体的な例としては、以下が挙げられます。

  • 業務を細かく分け、それぞれ適任の部署や担当者をアサインする
  • フローチャートを作成し、各部署作業分担できる環境を作る
  • 特定の業務をマニュアル化し、誰でも対応可能にする

特に部署間の連携やコミュニケーション活性化の面で大きな役割を発揮します。

リソースを有効活用することでコストを削減できる

コスト削減の効果も期待できます。PMOはプロジェクト全体を管理する部署です。

各チームのリソースの空き状況などを把握することができます。

またスケジュールおよび将来のタスクも管理しています。どの期間にどのようなスキルを持つ人材がどの程度必要なのか把握可能です。

システム開発プロジェクトの場合はフェーズによって必要なヒューマンリソースは異なるため、未来のマネジメントも必要になります。

PMOを配置ししっかり管理しておくことで、大幅なコスト削減が見込めます。

たとえば、将来の特定期間にテストが集中するため、テストエンジニアが通常の倍必要だったとします。

このことが把握できていれば、その時のみ協力会社やフリーランスのテストエンジニアと契約しリソース不足を補うことが可能です。

逆にこのようなスケジュールやタスク管理ができていない場合どうなるでしょう。

そうなった場合は常に多めのテストエンジニアを確保することになってしまいます。結果、人件費増を引き起こすことになります。

記事まとめ

記事まとめ

今回はITプロジェクトでのPMOについて解説しました。

この仕事に就くにはIT関連の能力が特に必要です。システム開発関連の専門用語なども理解できる必要があります。

SE経験がない場合は資格試験なども活用しておきましょう。

ITプロジェクトでPMOの役割をこなすことができれば、キャリアアップや転職の上で大きな強みになります。