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公開日:2023.05.24(水) 更新日:
PMOが使えないと言われないためのスキルや対処法を解説
PMOはプロジェクトを管理するための組織で、効率的な課題管理やチーム間のコミュニケーション円滑化など様々な効果が期待できます。
経営やIT関連など企業が将来市場価値を高めていく上で意義のあるプロジェクトを任されることも多いため、マネジメント業務経験が豊富なメンバーで構成されることが一般的です。
しかし、ネットのブログ記事や口コミなどを見てもわかる通り、「PMOは使えない」と考えている人は一定数存在します。本記事では、なぜPMOが使えないと言われるのかその理由について解説します。
PMO無しでプロジェクト管理の仕事は可能?きつい?
実際のプロジェクトでもPMOは使えないという意見が聞かれることはあります。
PMOは外注となることも多く、その場合費用が高額になるため、プロジェクトを成功させる上で必要かどうか企画段階で慎重に検討されます。
検討の際にPMOは不要という意見が出ることもあります。
PMOが必要とされない要因について
PMOが使えないという意見が出てくる理由はもちろん状況により異なりますが、主に3つの要因が考えられます。
要因①:PMOが良い評価をされていない
PMOが「使えない」と言われる理由は、当然PMOが他の関係者から見て期待通りの成果を挙げられていないということを意味します。
たとえば、能力不足という評価を受けることもあります。
原因としては、PMOとして採用したメンバーのスキルセットがプロジェクトに適していない可能性があります。
外部委託などを利用し、目的を達成する上で有効な知識やスキルを持つメンバーを獲得することが望ましくなります。
また目的の把握が甘く求められていない仕事をしてしまっている可能性もあります。改めてプロジェクトの目的とそれに対するPMOの役割を具体的に確認することが有効になります。
要因②:他の関係者がPMOの役割を勘違いしてしまっている
PMOの役割を誤解されていることもあります。その場合、PMOの業務スコープを明確に伝えることが必要です。
例えば、システム開発のプロジェクトで、開発チームから「PMOが設計書を作成しないため開発に着手できない」という指摘があり、その結果PMOは使えないという評価をされてしまったとします。
この場合はプロジェクトとして設計書を作るべきチームはどちらであるのか関係者間で認識を合わせることが必要になります。
基本的にはPMOは成果物の管理や確認などを行う部署であり、設計書作成は開発チームの仕事と定義しているプロジェクトが多くなります。
他の関係者がPMOの責任範囲を勘違いしており、「使えない」というレッテルを貼られている可能性もあります。関係者にPMOの役割を説明することが必要になる場合もあります。
要因③:そもそもPMOが必要ないプロジェクトである
実はPMO無しで運営されているプロジェクトも存在します。極端な例を挙げると、個人で行う一人プロジェクトであればPMOは組織されず、自分が全ての役割を担うことになります。
企業で企画されるプロジェクトであっても、特に小規模なものであればPMO無しで運用できるものも多いです。
プロジェクトを推進する上で必要なものは、予算、進捗、課題など様々な要素の管理であり、PMOという組織はその管理を行うための手段の一つとなります。
そのため、PMO無しでもプロジェクトの目的を達成できるのであれば、PMOはあえて組織する必要はないことになります。
使えないという意見はあるが、PMOは事実上必要不可欠な場合がほとんど
PMOは使えないという意見があるのは事実ですが、実際には会社で推進されているプロジェクトのほとんどで配置されている需要の高い組織になります。
業界を問わず新規事業の立ち上げ、ERPシステムの導入、業務プロセスの改善など多種多様なプロジェクトが日々推進されています。
会社で企画されるプロジェクトは基本的に大規模なものであり、仕事を進めていく上でマネジメントが必要なものは数多く出てきます。
また、プロジェクトによっては専門的なスキルがないと管理することが難しいものもあります。
例えば、システム開発関連などは専門的な知識がないとマネジメントが困難なプロジェクトと言えます。
経営層や業務チームと要件を明確化し、その情報を開発チームに共有し具体的なシステムを作り上げていくといった流れとなることが多く、PMOには経営や業務だけでなくIT関連の知識も求められることになります。
「使えない」と言われないPMOになるには?
プロジェクトを推進していくためには、PMOが他のメンバーから信頼される必要があります。使えないPMOにならないためには、プロジェクトの企画段階から求められることを見極めていく必要があります。
PMOが必要になるのはどんな会社か?
前述の通り、PMOはプロジェクトを効果的に推進していく上で有効で、決して使えない組織ではありません。
しかし、だからといって全てのプロジェクトに必須の組織ではないことは注意しておく必要があります。
プロジェクトが企画された場合、PMOの配置を前提とすることは得策ではなく、PMOが必要であるかどうかを見極めることが重要です。
会社やプロジェクトの特徴によっては、PMOを作らなくても仕事を進めていける場合もあるため、場合によってはPMOを作らないという判断も選択肢の一つです。
PMOが不要なプロジェクトにPMOを配置すると「使えない」という評価を受けるリスクが高くなります。
PMOはプロジェクト推進に必須の組織ではなく、マネジメント業務を効率的に行うための手段の一つと考えることがポイントです。
実際には、大規模な案件の多い会社で企画されるプロジェクトではPMOの配置はほぼ間違いなく必須になりますが、本当にそうであるか検討してみる必要があります。
そうすることで、そのプロジェクトでのPMOの役割を明確化する効果も期待でき、より効率的にマネジメント業務を行っていくことができます。
プロジェクトで活躍できるPMOになるために必要なことは?
PMOが必要と判断されたプロジェクトであっても、「使えない」という評価を受けてしまうことはあります。
そのような評価を受けないためにも、プロジェクト内でPMOに期待されることを明確化し、それを達成していける環境を作ることが重要です。
PMOはProject Management Officeの略であり、その名前の通りマネジメントが主な仕事となることは認識されています。
しかし、PMOに期待する役割は実は関係者によって異なります。
プロジェクト内のステークホルダーには利害関係があり、PMOはその間に入る組織です。
そのため関係者間の板挟みに合ってしまうことがあり、その結果使えないという評価を受けてしまうことがあります。
たとえば、経営層はできるだけ予算でプロジェクトの目的を達成してほしいと考え、逆に現場はもっと予算を積んでいくことを希望することがあります。
プロジェクト予算はPMOが管理していることも多く、その場合双方から要望を受けることになります。
関係者間で意見が分かれてしまった場合、双方からの要求を達成できないことも当然出てきます。
上手く落としどころを見つけ調整していく必要があります。
そのような場合、関係者から「使えない」というようなマイナスの評価を受けないよう工夫します。
信頼関係が築けない場合、プロジェクトの推進に影響が出てしまいます。期待通りの成果をあげることが難しい場合も、プロジェクトメンバーに事情を説明し納得してもらえるよう努める必要があります。
「使えない」と言われないためのスキルは?
PMOとして使える人材になるためには、管理業務で役立つスキルを身に付けておくことが必要です。
PMOとして持つべきスキルは数多くあり、とても全てを習得することはできません。
学ぶべき範囲が非常に広範囲になるため、PMOの仕事に就くことは難しいと考えている人は多いと思います。
しかし、基本的にはどんな仕事をしていたとしても、PMOの職種で採用されるための経験を積んでいくことは可能です。
確かにPMOが幅広く習得すべきスキルは広範囲に渡りますが、必須となるスキルはどんな仕事でも意識次第で磨くことができる基本的なものになります。
マネジメントスキル
PMOは管理業務がメインの役割となるため、マネジメントスキルは必須になります。一般的に、マネジメントスキルと言えば、以下のような力を思い浮かべる人が多いと思います。
- メンバーの特徴、能力、得意分野などを理解し、適切にタスクを割り振るスキル
- 仕事を通してメンバーを成長させていくスキル
- リスクや課題がプロジェクト推進に影響しないよう管理するスキル
しかし、これらはマネジメントスキルのほんの一部です。
プロジェクトを推進するには、予算、タスク、スケジュール、課題、など様々な要素を管理することが求められます。
さらにきついことに、プロジェクトによって管理しなければならないモノは全く異なります。
近年ではIT関連のプロジェクトが多く、システム開発関連のマネジメントスキルが特に求められます。
ITプロジェクトでは、開発システムのスコープ、設計書などの成果物、プログラムの品質、などをしっかりマネジメントできる必要があります。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルはPMOにとってマネジメントスキルと同じぐらい重要なものになります。
PMOが組織されるプロジェクトは基本的に大規模なもので、少なくとも数十人~数百人の関係者と協力して仕事を進めていくことになります。
そのため、必然的に多くの人とコミュニケーションをとる必要が出てきます。
PMOには状況に応じて適した手段で関係者とコミュニケーションをとっていくことが求められます。
一般的にコミュニケーションスキルというと、一対一で円滑に意思疎通できる力や、プレゼンテーションの上手さを想像する人が多いと思いますが、それだけではありません。
例えば、メールやチャットなど文字での連絡や、パワーポイントの資料を作成しそれを相手に確認してもらう形でのコミュニケーションもあります。
また、海外の会社とのプロジェクトであれば英語力などが必要になることもあります。
様々な手段でのコミュニケーション能力を身に付けておくことで、PMOとして仕事をしていく上での可能性を広げることができます。
ITスキル
近年は多くの会社でIT関連のプロジェクトが企画されています。
社会的にDXが活発推進されている時代であるため、業界問わず多くの会社でその対応が必須となっています。
経済産業省も「2025年の崖」という言葉で国内企業のDX推進の遅れに警鐘を鳴らすほどDX推進を重要視しています。
今後の社会では企業価値を出していく上でDX推進が必須と考えられていますが、日本企業は昔から使われているレガシーシステムが足かせとなり、DX推進が困難になることが予想されています。
経済産業省のレポートでは、2025年以降で発生する経済損失は最大で年間12兆円となる見込みとなっており、今後ますます多くの会社がDX推進関連のプロジェクトを立ち上げていくことが予想されます。
また、今後はERPシステム刷新の案件も多くなっていくことが予想されます。
ERPの中で最も需要があるSAP製品(SAP ERP 6.0)は、2027年に標準サポートが終了することもあり、新システムへの移行関連のプロジェクトが多くの企業で推進されることが予想されます。
そして、AI、IoT、ブロックチェーン、VRなどの最新技術の導入によるサービスの開発、社内の業務改善、新しいビジネスモデルの構築などの案件も多くなっています。
そのため、IT関連のプロジェクトを推進できるスキルや経験はPMOとして活躍していく上で事実上必須と考えられます。
まとめ
本記事ではPMOは使えないと考えられてしまう主な原因について解説しました。
実際にはPMOは仕事を効率的に推進していく上で必須であることがほとんどで、プロジェクトの成功がその働きぶりにかかっていることが多くなります。
「使えない」という評価を受けないためにも、プロジェクトで求められる役割を正確に把握することや、業務に必要なスキルを日々磨いていくことが重要です。