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公開日:2022.02.15(火) 更新日:
PMOとITコンサルタントの違いとは?両者の役割や仕事内容から解説
プロジェクトのマネジメントには、進捗状況やリソース管理、コスト予実把握、設計書やテストの品質担保といった様々な作業が発生します。
これらの業務を担当するのが、プロジェクトマネジメントを支援する職種であるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)です。
特に大規模なプロジェクトを行う際には、PMOが重要な役割を果たします。
しかし、「プロジェクト推進にPMOを利用すべきか、ITコンサルタントを利用すべきかわからない」「両者の違いはなんだろう」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、PMOとITコンサルタントの違いについて、両者の役割や仕事内容を整理しながら解説していきます。
PMOとITコンサルタントの違いとは
PMOとITコンサルタントでは、主に「支援する内容」が違います。
PMOは、進捗状況やリソース、コスト管理など、プロジェクトマネジメントに特化した支援をします。
一方で、ITコンサルタントはIT戦略の策定支援やシステム構想策定、また近年ではDX推進支援など、多岐にわたり企業のITに関する業務を支援する役割となっています。
システム開発において社内にIT人材が不足していたり、大規模プロジェクトにおいて一時的にIT人材が必要であるケースなどにおいて、ITコンサルタントにサポートを依頼することがあり、近年ではその需要は増加しています。
プロジェクトマネジメントの支援が必要な場合はPMOの利用がおすすめですが、よりITの専門的な知識が必要となる場合にはITコンサルタントの利用をおすすめします。
PMOの役割
以下では、より詳細にPMOの役割を整理します。
PMOの主なポジション
PMOと一口に言っても、いくつかのポジションが存在します。
ここでは、日本PMO協会で定義されている職種をベースにPMOの主なポジションとそれぞれの仕事内容について紹介します。
PMOアドミニストレータ(事務担当)
プロジェクトに円滑に推進するためには、社内プロセスを通過するための段取りを整理したり、進捗状況の把握や課題の追いまわしなどを実施する役割が必要です。
また大規模なプロジェクトの場合は、会議の調整や経費処理なども膨大なものとなります。
このような役割を担うのがPMOアドミニストレータです。雑務も多いポジションではありますが、プロジェクト推進の根幹となる重要なポジションです。
PMOエキスパート(情報分析、ルール策定)
PMOエキスパートの仕事内容は、プロジェクトの環境やルールの策定、さらにそれらの改善および標準化を推進することです。
例えば、プロジェクトの立ち上げ時にプロジェクトの運営方法を明確化するために作られる「プロジェクト計画」の策定や、品質・進捗・コストをコントロールするためのテスト基準や報告ルールなどを定めたりする作業を担当します。
特に、標準化や有用なプロジェクトツールの採用などは、プロジェクトの実施効率に大きく関わります。
例えば進捗管理一つとっても、並行して実施しているプロジェクト間で方法が異なればその効率は低下します。
共通のフォーマットで進捗を確認できれば、プロジェクトメンバーの進捗確認効率も向上するでしょう。
PMOマネージャー(PM補佐)
PMOマネージャーの仕事内容は、PMO自体をマネジメントすることです。
PMO組織をどのように運営していくかや、PMOメンバーの稼働状況管理、教育、PMO組織内の予算管理などを担当し、PMOがその効果を発揮できるようにします。
また、PMOマネージャーはその経験を生かして、プロジェクトに発生しがちな課題やリスクなどを事前に検知し、先んじて対策を行うなど、全体を俯瞰したうえで柔軟にプロジェクト推進の補佐をしていくことも重要な役割です。
組織体制による役割の違い
PMOの役割は、組織体制上PMOをどこに配置するかによって異なります。
PMの直下にPMOを設置
この場合、PMOはPMの補佐的な役割を担います。
主に進捗・課題管理などの事務作業やプロジェクトの窓口を担当し、プロジェクトの円滑な遂行を支援します。
比較的に小規模〜中規模のITプロジェクトにおいては、このような配置が多くなります。
プロジェクトオーナーの直下にPMOを設置
大規模なITプロジェクトでは、システム導入側のプロジェクトオーナーの直下にPMOを設置します。
この場合、上述した進捗・課題管理等の作業はもちろんのこと、経営とのコミュニケーションや経営戦略の整合性確認など、経営戦略をITプロジェクトに反映する役割も併せて担います。
ITコンサルタントの役割
一方で、ITコンサルタントにはどのような役割があるのでしょうか。ITコンサルタントは、基本的に企業からの求めに応じて仕事を補佐します。
以下では、主にITコンサルタントへ依頼されるケースが多い領域について解説します。
IT戦略策定支援
企業におけるIT投資は年々重要度を増しており、IT投資計画は重要な経営方針の一つです。
またIT戦略の策定には、高度なITスキルと経営戦略への理解が求められます。
ITコンサルタントは、企業の経営戦略に基づき、どのような分野へのIT投資を、どのような優先順位で、どのような技術を活用しながら進めていくかを戦略として整理します。
ITの専門家として企業の経営戦略を実現するため、投資の優先度の検討や採用すべき技術の洗い出したり、比較検討などを実施したりして、IT戦略として整理する役割を担います。
また近年ではレガシーマイグレーションやモダナイゼーションなど、企業の足かせとなっている現行システムの刷新などの計画策定をコンサルティングするケースも増えています。
システム化構想策定支援
特に大規模なシステムにおいては、IT投資の規模も大きなものとなるため、開発に着手する前の事前構想が重要となります。
このような場合に、ITコンサルタントがシステム化構想の作成を支援するケースがあります。
現行システムが存在する場合は、現行システムに存在する課題や改善ポイントなどを整理したうえで、次期システムのアプリケーション面・インフラ面の構想を作成します。
アプリケーション面では、将来的なビジネス展望なども加味しつつ、コアとなる機能を精査します。
インフラ面ではクラウドの活用など最新技術の採用やセキュリティ面の担保方法などを検討します。
これらの業務には、高度なITスキルや経験が必要とされるため、ITコンサルタントに依頼されやすい分野となります。
ERPパッケージ導入支援
SAPに代表されるERP(エンタープライズ リソース プランニング)ソフトウェアは、有効なソリューションとして多くの企業で採用されています。
ERPは製造・販売・会計など企業の広範囲の業務をカバーするものですが、導入プロジェクトは大規模かつ高難易度のものとなりがちです。
ITコンサルタントは、その製品知識やマネジメント力、調整力を発揮して企業のERPパッケージの導入支援を担当します。
特にERPの導入には製品の細かい仕様などの知識が求められるため、スペシャリストとして「ERP導入コンサルタント」などと呼ばれるケースもあります。
DX推進支援
近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)も重要なキーワードとなっています。
企業は競争力を維持・向上させるためにデジタル分野への積極的な投資を進める必要があるのです。
そんなDX推進の支援も、ITコンサルタントの業務内容のひとつとなります。
内容としては、DX推進のための体制構築やDX人材の育成方針検討、パイロットプロジェクトやPoCの実行支援など、企業がDXを通して自社の価値を向上させるための取り組みのサポートとなります。
PMO支援
先述した通り、PMOとITコンサルタントには大きな違いがありますが、ITコンサルタントがPMOの役割を担い、支援を実施するケースもあります。
近年では、システム化案件の大規模化・増加を踏まえてPMO人材としてITコンサルタントが活用されるケースが増えているのです。
企業に不足するIT人材リソースを補う形で、ITコンサルタントが活用されます。
ITコンサルタントによるPMO支援の価値とは
システム導入側として必要となるPMO業務はベンダーに依頼できませんので、その企業の人員が担うことになりますが、PMOを実施するのに適した人的リソースが不足しているケースは多いです。
特に多くのPMO要因が必要となる大規模プロジェクトはその傾向が顕著となります。
自社の人員は簡単に採用することは難しいので、このような場合にITコンサルタントによる支援が有効となります。
また、自社にPMOのノウハウが蓄積されているケースも多くはありません。
PMOの役割には広く全体を俯瞰する能力や、ITの専門家として適切な進捗管理・課題管理・品質管理・リスク管理などの実行、経営レベルへの報告も含めたコミュニケーション・資料作成能力が必要となります。
特に、PMOはプロジェクトメンバへの依頼や要請、調整が多く発生します。
社内のパワーバランスの存在なども考慮すると、外部の人間をうまく活用することでスムーズなプロジェクト運営を実現することもできるでしょう。
このようなメリットがあることから、近年では積極的にPMO業務をコンサルティング会社へ委託する企業も増えてきました。
PMOはプロジェクトの成功において重要な役割を担いますので、このポジションに外部人材も含めて有用なリソースを配置することが大切です。
転職する方法
PMOとITコンサルタントは多くの企業が積極的に採用しようとしている職種です。
そのため勤務経験を持っていれば、転職市場で非常にニーズの高い人材になることができます。
将来のキャリアの選択肢を広げることができるだけでなく、高い年収を得ることも期待できるため、おすすめの職種です。
ではPMOやITコンサルタントに転職するにはどうすればいいのでしょうか?
どちらも高度な知識とスキルが求められる職種であるため、普段から資格試験や書籍を利用して勉強していくことや、日々の仕事で意識的に経験を積んでいくことが推奨されます。
PMOへの転職
PMOは高度な知識とスキルを求められる職種ですが、実は未経験でもPMOに転職することは可能です。
実際、求人サイトには未経験者歓迎となっている募集も数多くあります。
もちろんプロジェクトマネジメントの経験などがあれば、採用されやすくはなります。
そのため、PMOへの転職を目指す場合は、日々の仕事からPMOの仕事を意識して、アピールできる経験を積んでおくと良いでしょう。
仮に所属している会社にPMOという職種が無くとも、マネジメント関連の業務経験はどこでも積むことができるはずです。
タスクやスケジュール管理の仕事を担当できるチャンスがあった場合は、積極的に手をあげて経験しておくようにしましょう。
転職の際の武器として活かすことができます。
ITコンサルタントへの転職
ITコンサルタントへの転職を検討する場合、具体的にどのような案件につきたいのかをできるだけ明確にしておくことが推奨されます。
未経験者歓迎の募集が多いPMOと違い、ITコンサルは即戦力として認めてもらえるだけの経歴が無い場合は、採用されることが難しい案件が多いです。
IT戦略の策定やシステム開発経験、ERPパッケージの導入経験など、一言でITコンサルタントと言ってもその業務内容は多岐にわたるため、まずは「ITコンサルタントとしてどのような仕事をしたいのか」を絞ると良いでしょう。
その上で、ITコンサルタントに転職した後に、選択肢の幅を広げていくことをおすすめします。
求人の中にはSAP、Oracle、Salesforceなど具体的な製品の導入経験などを必須条件としているものもあります。
そのため、手を広げ過ぎるよりもまずは特定の領域を深く経験していくことがポイントになります。
記事まとめ:両者の違いは「支援内容」
この記事では、PMOとITコンサルタントの違いというテーマで、両者の役割に注目しつつ解説を行いました。
今回解説した通り、PMOとITコンサルタントでは、主に「支援する内容」が違います。
またITコンサルタントとPMOは異なる職種ではありますが、ITコンサルタントがPMOの役割を担うケースも増加しています。
企業に存在するIT人材の現状や、デジタル投資の増加などの要因を踏まえると、今後もその傾向は続くと考えられるでしょう。
ITの専門家であるITコンサルタントにPMO支援を依頼することで、円滑なプロジェクト遂行の実現に近づきます。
自社のIT人材に不足感を感じている場合、コンサルティング会社に相談してみても良いかもしれません。