PMOの役職とは?ポジションで役割や必要なスキルは異なるかを解説

公開日:2022.12.09(金) 更新日:

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役職と各役割を解説

PMOの役職とは?ポジションで役割や必要なスキルは異なるかを解説

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、プロジェクトを管理することを役割とする組織です。企業でプロジェクトが企画された場合、通常はPMOが配置されます。

その理由は、プロジェクトの生産性を上げることができるからです。そのため、PMOの役割をこなすことができる人材は非常に需要があります。

この記事ではPMO組織の役職について説明します。

プロジェクトマネジメントオフィスの役職とその役割

プロジェクトマネジメントオフィスの役職とその役割

PMOはプロジェクトマネジメントを役割とする組織であり、役職がいくつかに分かれています。

プロジェクトや会社によってその名称などは異なる場合があるものの、各担当者の役割ごとに役職が分かれている場合が多くなっています。

一般的には、PMOはアドミニストレーター、エキスパート、マネジャー、の3つの役職に分けられており、それぞれ異なる役割と業務をこなします。

出典:日本PMO協会|NPMO

1.PMOアドミニストレーター

アドミニストレーターは事務やサポート業務を主に担う役職です。

プロジェクトのメインとなるタスクを直接こなしていくことは無い場合が多いです。

他チームのメンバーが行うプロジェクトの核となる業務をサポートする形で間接的にプロジェクトに関わっていくイメージになります。主に以下のような業務を行います。

①プロジェクト内の各チームへの情報共有

プロジェクト内で情報を収集し、必要に応じて各部署やメンバーに通知します。

主にプロジェクトの生産性を向上させることを目的として行います。

必要となる情報は多岐にわたりますが、具体的には以下のような情報の通知などを行います。

  • プロジェクトスコープを縮小する判断が行われたことによる作業凍結
  • 課題発生などによるコンチプラン実施
  • 新たな要件によるタスクの優先順位変更

PMOはプロジェクト全体の情報が集まる場所であり、情報を有効活用することはプロジェクト成功の大きなカギであるため、非常に重要な仕事になります。

②会議の推進、支援

定例会や臨時会議問わず、プロジェクト内で開催される会議の推進もPMOに求められる重要な役割の一つです。

ファシリテーターや議事録作成などが主なタスクとなります。

重要な決定事項やToDoをしっかり記録し、作業漏れを防止します。

一見、簡単な仕事にも見えますが、実はそのプロジェクトで扱う内容に関してしっかり把握していないと対応できない難しい仕事でもあります。

また、参加者の発言内容をしっかり理解する必要があるため、例えば、ITプロジェクトであれば、プログラミング関連の知識が必要になる場合もあります。

そして、文書や資料の作成スキルも求められます。

③事務作業のサポート

プロジェクトを推進するには、様々なリソースを手配する必要があります。

必要なモノはプロジェクトによりますが、経営関連の知識を持つ人材、課題管理を効率化するITツール、実務テスト用の高スペックなPC、などを入手する必要が出てくるため、社内で決められたルールにしたがって申請書などを作成する必要が出てきます。

プロジェクトメンバーがそれぞれの作業に注力できる環境を作ることもPMOの役割となるため、積極的に事務作業を対応していくことも求められます。

2.PMOエキスパート

エキスパートはプロジェクト推進の中核を担う役職です。プロジェクトの目的達成に直接的に関わる仕事を推進していきます。

プロジェクトの中で様々な部署やチームのメンバーとコミュニケーションを取っていく必要があります。

広く浅くプロジェクトに関わることを求められることもあれば、時には特定の領域に対して深く入り込んでいくことを求められる場合もあります。

プロジェクトによって求められる役割は全く異なるとも言えますが、一般的に以下のような業務を担うことが多くなっています。

①プロジェクトルールの標準化

どのプロジェクトでも効率的にタスクを進めるためルールを標準化します。

例えば、進捗や課題の報告方法を標準化を行っていない場合、各チームがそれぞれのやり方やフォーマットで報告してくることになり、情報の確認や分析に非常に時間がかかったり、必要な情報が記載されておらず余計なタスクが増えてしまうことになります。

また、報告する情報は多ければ多いほどいいというわけでもありません。価値の無い情報を収集するのに余計な作業が発生してしまうと生産性が下がってしまい本末転倒ということになります。

必要な情報を吟味し、極力担当者に余計な手間をかけさせない方法で対応してもらう必要があります。

②他部署、他企業と連携する必要があるタスクの推進

プロジェクトは他のチームや企業とコミュニケーションを取りながら進めなければならないタスクもしばしば発生します。

自分の所属する組織には無いノウハウも利用して仕事ができるため、その仕事の可能性を広げることができる反面、異なる経験やバックグラウンドを持つ人たちと仕事を進めることになるため、問題が発生することもあります。

人間関係のトラブルだけでなく、考え方の違いなどからうまく仕事が推進できない場合も少なくありません。

エキスパートはそのような場合も組織の間に立ち、双方の長所を活かしながらタスクを推進していく役割が求められます。高いコミュニケーションスキル、交渉スキル、判断力などが求められます。

③プロジェクト内の問題解決の推進

プロジェクトはその過程で様々な課題が発生します。

発生する課題は様々ですが、例を挙げると以下のようなものがあります。

  • 当初の想定よりも開発作業に時間がかかることが判明した
  • 計画していた方法では作業が進められないことが分かった
  • 理想のスキルや経験を持つ人材を獲得できなかった

エキスパートには発生した問題を解決する役割も求められます。

問題解決のため、課題の原因調査、仮説策定とその検証、マネージャーやプロジェクトオーナーへのソリューションの提案、承認されたソリューションの実行、などの業務を実行し、問題を解決します。

3.PMOマネジャー

PMOマネジャーは、プロジェクト全般管理を役割とする「PMO」という部署の管理を行う役職になります。

マネジメント業務全般を管理することが求められるため、プロジェクトの結果に大きく関わる重要な仕事になります。

基本的には豊富な管理職マネジメント業務の経験と高度なスキルを持つ優秀な人材が配置されます。主な仕事は以下になります。

①PMO組織の戦略

PMOはプロジェクトマネジメントの戦略を策定する部署ですが、PMOマネージャーはその組織の戦略も検討していく必要があります。

どんな知識や経験を持つ人材をメンバーをどのタイミングで獲得するか、どのようにプロジェクトの進捗を確認していくか、プロジェクトを管理するためどのような方法を採用するか、などPMOの戦略を検討し具体化していきます。

プロジェクトを効率的に推進できる組織を作っていくことが求められます。

②PMOメンバーの教育、仕事に対するレビュー

PMOマネージャーは管理職であるため、メンバーに対する教育も求められます。

各メンバーの能力、適性、経験などを正確に把握して仕事を割り振っていきます。

基本的にはPMO業務を直接対応するのではなく、エキスパートやアドミニストレーターなど他のメンバーに対応させる形で仕事を進めていくスタンスが求められます。

そして、各メンバーの成果物のレビューも重要な仕事になります。

マネージャーはプロジェクト全体の情報が集まりやすい役職であるため、その立場を活かし広い目で見て各メンバーの仕事に問題が無いかを確認していくことが重要です。

全体を俯瞰する目線で見ることで各メンバーの細かい目線では見えないリスクなど指摘し、プロジェクトを効果的にマネジメントしていくことが求められます。

③プロジェクトの重要事項に関する交渉

PMOマネージャーという役職は、最もプロジェクト全体を見渡すことができるポジションでもあるため、プロジェクトの方針転換など重要事項の決定を促進していく役割も求められます。

例えば、プロジェクトを進めていく過程で、当初の予定通りには進めることが困難であることが判明したとします。

その場合、PMOマネージャーはプロジェクトオーナーなどにその状況を正確に伝えた上で、正しい対応方針を立ててもらえるよう調整を行います。

具体的には、プロジェクトのスケジュール変更、スコープの縮小、予算の追加、など、課題に対して最適と思われるソリューションを検討し、責任者に対してその提案を行います。

時には想定外の事態によりプロジェクトの成功が難しくなることもあるため、極力損害を出さないよう調整する、最低限の目的だけに注力する、などの対応を行うことも重要になります。

役職に関係なくPMOに求められる能力とは?

役職に関係なくPMOに求められる能力とは?
PMOはプロジェクト成功のカギを握る組織と言っても過言ではないため、高いスキルと豊富な経験が求められます。

前述した通りPMOには役職があり、それぞれが異なる役割を持ち業務を行います。

そのため、求められるスキルや経験は異なる部分もあります。

しかし、役職は違ってもPMOという組織に所属しているという点では同じであり、共通して求められるスキルも存在します。

マネジメントスキル

PMOはその組織自体がプロジェクトを管理するということを役割としています。

そのため、マネジメントスキルは役職に関係なくPMOに所属していれば求められるスキルになります。

スケジュール、進捗、課題、リスク、品質、など、プロジェクトを効率的に推進するため多くの要素を管理していきます。

マネジメントスキルを学ぶことができる資格試験もありますが、経験を通して学んでいくことが推奨されます。

マネジメントは理屈ではない部分も多く、机の上で勉強するというよりは経験するという身につけ方の方が実務で活かせる場合が多くなります。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルもPMOにとって非常に重要なものになります。

プロジェクトを管理していくためには、多くのプロジェクトメンバーと連携していく必要があります。

仕事に対する姿勢や考え方が違う人や、異なる専門知識・スキルを持つ人とコミュニケーションを取る必要があります。

また、顧客、パートナー企業、経営層、など立場の異なる人や、グローバルなプロジェクトであれば、海外企業の担当者と英語などでコミュニケーションを取る必要も出てくることがあります。

そのため、単純にコミュニケーションスキルと言っても範囲は広く、ビジネスマナーや語学力なども含め身につけておくことが望ましくなります。

論理的思考能力

論理的思考能力はPMO業務の様々な場面で求められます。

たとえば、プロジェクトで発生した課題を解決する場合、ロジカルに対応方法を検討していく必要があります。

また、プロジェクトのルールを他チームに説明する際も、なぜそのルールが必要なのか、相手が納得できるよう論理的に説明していくことが求められます。

そして、将来的に発生する可能性が高い問題に対応する際も論理的思考能力が重要になります。

ロジカルに将来のリスクについて考え、その予防策を打っておくことでプロジェクトの成功率を高めることができます。

PMOは役職に関係なく道筋を立てて考えアクションを取っていくことが重要になります。

そうすることで、プロジェクトメンバーから信頼を得ることもでき、円滑にプロジェクトを推進していくことができます。

まとめ

まとめ
今回はPMOの役職について説明しました。

PMO人材は様々なプロジェクトで活躍していくことができるため、非常に人気がある職種になっています。

役職とその業務内容を理解しておけば、知識の取得や能力開発を進めやすくなります。

また、資格試験を利用することもPMO業務を体系的に学べるという点で大きなメリットがあります。

PMOの役割を正確に理解し普段からスキルを身につけておくことがおすすめです。