- ホーム>
- ITコンサルティング>
- システム開発 PMO>
- 【PMO】リモート環境におけるプロジェクト管理のコツや求められるスキル
公開日:2023.08.23(水) 更新日:
リモート・在宅ワークの普及によって大きく変化したPMOの働き方
プロジェクト管理が主な業務であるPMOという職種は、リモートワークが可能な求人もあります。
業界、仕事内容、企業の方針などにもよりますが、基本的にPMO業務はリモートで対応できることも多いです。
求人サイトで検索してみると、「フルリモート」「一部リモート」「リモート可」といった記載のある案件もかなり数があることに気づくと思います。
ここではPMOがリモートで働くにあたって、求められるスキル、課題、仕事のコツなどについて解説します。
リモート/在宅ワークの普及によるPMOの働き方の変化
コロナウイルスにより在宅勤務が必要になったことで困った職種は数多くあり、PMOはそのうちの一つです。
案件によっては出社しないと対応できない仕事もあることから、極端に業務効率が悪くなったプロジェクトは多いでしょう。
私もコロナウイルスによる緊急事態宣言が出た当時は自動車メーカーのシステム開発・導入のプロジェクトでPMOとして働いていましたが、全くと言っていいほど仕事が進まなくなったことからかなり焦ったことを覚えています。
プロジェクトを推進しにくくなった要因は無数にありますが、たとえば以下が挙げられます。
- 会社が用意したVPNが非常に重く、繋がらないことも頻繁に発生する(ほとんどの社員が同時間帯にネットワークにアクセスするため)
- クライアントやPMOメンバーとは対面ではなく、メール、チャット、WEB会議でのコミュニケーションになるため、それまでにない仕事が増え、認識齟齬も発生しやすい
- セキュリティ上の理由から社外からアクセスできない情報ツールや持ち出せない資料があり、進められない仕事がある
在宅勤務になったからと言って、プロジェクトの目的は変わらず期限も当初のままです。
そのため、出社しなくても業務を進めていける環境に変えていくという考え方をするようになりました。
その方法は企業によって異なりますが、私の場合だと具体的には、
- 在宅勤務に合わせたITツールの導入
- 勤務時間を日中ではなく夜間など社内ネットワークに繋がりやすい時間帯に変更
- 出社申請の簡素化
などが挙げられます。
在宅勤務でもPMOとしてプロジェクトを支援していくには、考え方の見直しが必要です。
PMOの求人にはどのように影響しているか?
リモートワークの普及はPMO求人にも大きく影響しています。
求人情報にはリモートワークが可能かどうか記載されることが多くなりました。PMOでもリモートで働ける環境を用意する企業が増えています。
PMOのリモートの仕事はどれくらいある?
どの転職サイトで検索してもPMOの求人は数多くあります。
試しにIndeedで「PMO」というワードで検索してみると48,927件の求人が表示されます。そのほとんどがPMOの求人です。
時期により多少の変化はありますが、基本的には数万件以上の求人が掲載されています。
では「PMO リモート」と検索するとどうなるでしょう?
実際に検索してみると、21,566件の求人が表示されました。
つまり、PMO案件の半数近くはリモートの働き方も選択できる求人になります。
企業やPJによってはフルリモートの案件もある
PMOにはフルリモートの案件もあります。
PMO業務は出社しないと対応が難しいタスクが発生することもありますが、案件次第です。
多くの企業が在宅勤務可能な環境を整備しているため、フルリモートが認められる案件も決して珍しくはありません。
Indeedで「PMO フルリモート」で検索すると7,932件の案件が表示されました。
リモート案件を担当するPMOに求められるスキル
リモート案件でプロジェクト支援をすることになった場合、普段からどのようなスキルを磨いておくべきでしょうか?
オフィスと在宅では、少し仕事の効率的な進め方に違いが出てきます。
必須となるPMOスキルは変わりませんが、ポイントを抑えてスキルアップを進めていくと効果的です。
プロジェクトマネジメントスキル
リモートワークであっても、PMOの職に就くにはプロジェクトマネジメントスキルは必須です。
PMOはプロジェクト管理のエキスパートとしての役割が求められ、進捗、課題、スケジュール、予算、リスク、成果物の品質など様々な要素を管理することになります。
常にアンテナを高くしてプロジェクト全体の状況を把握し、問題が発生した場合は率先して解決に向けて音頭をとることが求められます。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルはオフィスワークとリモートワークで少し異なる力が必要です。
オフィスワークでのコミュニケーションは直接の会話がメインとなりますが、リモートワークの場合はITツールを利用したコミュニケーションが基本です。
結局はどちらのコミュニケーションも必要になりますが、その割合が異なることを認識しておきましょう。
たとえば会議でのコミュニケーションの場合、オフィスであればジェスチャーを交えながら言いたいことを伝えたり、表情を見ながら相手の意見を察することができます。
しかしリモートワークの場合だと、カメラを使っても身振りでの意思伝達はしいでしょう。
そのため、少し工夫が必要です。
具体的には資料を用意しておくことや、前もってメールやチャットなどで相手に内容を伝えておくなど、事前準備が有効になります。
リモートのコミュニケーションはデメリットもありますが、その手段としてITツールを使うことになるため記録を残しやすいメリットあります。
リモートでのコミュニケーションの特徴をよく理解し、最適な方法を模索することがポイントです。
コミュニケーションスキルは、マネジメントスキルと同様PMOに必須の能力です。
プロジェクトオーナー、マネージャー、業務担当者、システム開発担当者など、さまざまなステークホルダーと協調しプロジェクトを推進していくことになります。
対面、Web会議、メール、チャット、タスク管理ツールなど、現場の状況に合わせてあらゆる手段で正確に意思疎通を図れる力が必要です。
IT関連の知識
現代はIT関連のプロジェクトは非常に多いため、働き方がリモートかどうかは関係なくPMOにはIT知識やスキルが必要になります。
求人サイトにはIT関連のプロジェクト支援の経験が必須条件となっている案件が豊富です。
システム開発などの経験があれば、PMOコンサルタントとしてキャリアアップしやすくなります。
PMOのシステム開発案件増加傾向には根拠があります。
現代は社会的にDXが推進されている時代です。
DXはあらゆる業界で企業が市場価値を高めていくために導入が必須の仕組みと言えます。
しかし、日本企業のDX導入はかなり遅れていると言われており、深刻な問題となっています。
経済産業省のレポートではDX推進の遅れにより2025年以降は最大で年間12兆円の経済損失が発生する見込みです。「2025年の崖」と呼ばれています。
レガシーシステムと呼ばれる老朽化したシステムを使い続ける日本企業が多いことから、この問題が発生しています。
そのため、今後DX推進やシステム刷新などのITプロジェクトを推進していく企業は増えていくでしょう。
このような背景から、PMOのIT案件は今後さらに増加することが予想されます。
リモートにおけるプロジェクト管理の課題
リモートでプロジェクト管理を行うにはさまざまな難題があります。
企業のプロジェクトでは数多くの関係者と協力して仕事を進めていくことになりますが、物理的な距離が発生することにより対応が難しくなる業務がどうしても発生します。
コミュニケーションの最適化
リモートワークになることにより、最も心配されるのはコミュニケーションでしょう。
IT技術は進化しており昔と比べると離れた場所にいる相手ともかなりコミュニケーションは取りやすくなりました。
しかし、まだ直接の会話と比べると劣っている部分はあります。ジェスチャーなど非言語部分のコミュニケーションは困難です。
また、リモートワークだとメンバーがそれぞれの生活リズムで仕事をすることがあります。その結果、連絡をしてもすぐに返答がないことが多いです。
コミュニケーションは自然と会話ではなく文字が多くなってしまいます。
オフィスワークと比較すると、相手からの回答に時間がかかることや、言いたいことが伝わりにくいことにストレスを感じる人は多いでしょう。
プロジェクト全体の生産性の維持、向上
リモートだとプロジェクトの生産性を維持することが難しくなります。
その主な要因としては、前述のコミュニケーション面の不都合が挙げられますが、それだけではありません。出社しなければ対応できない仕事があることもその一つです。
たとえば、社外秘の顧客情報や新商品データなど機密情報を参照しながら進めるタスク、サーバーなどインフラのメンテナンス作業、新規参画者の受け入れ業務、などがあります。
さらに、自宅に仕事ができる環境を確保しなければならない点も、場合によっては業務の生産性を下げる要因の一つです。
家族の生活音が原因でWeb会議が難しいという場合もあります。
コワーキングスペースを活用するなど何らかの対策が必要になります。
情報収集のための仕組み構築
PMOのメイン業務はプロジェクト管理であるため、効率的な情報収集は欠かせません。
業務効率化のプロジェクトの場合は、クライアントに業務課題を確認し、その解決策としてSIerにITシステムの開発や導入を依頼し、作業状況を定期的に収集する、といった流れが考えられます。
これはほんの一例ですが、これ以外のプロジェクトであっても、PMOはプロジェクト全体の進捗状況の把握が必要です。
正確に情報収集ができない場合、問題の検知とその対策が遅れてしまいます。
その結果、当初予定していた以上の費用や期間がかかってしまうことや、最悪の場合プロジェクトの失敗に繋がります。
リモートでは特にこの情報収集が難しくなるため、個々のプロジェクトに合わせた情報収集の仕組みが必須です。
リモート環境下でのプロジェクト管理のコツ
リモートでのプロジェクト管理にはコツがあります。
コツをつかむことで、リモートでも適切にPMO業務を行うことは可能です。
ただし、プロジェクトは生き物と呼ばれるほど案件によって状況は違います。案件に適した手段で管理方法や仕事の進め方を検討していくことが求められます。
適切なITツールの導入
ITツールはあくまでも手段であるため、導入は必須ではありません。
しかし、今や全くITツールを使わないで仕事をしている人はほとんどいないのではないでしょうか?
もちろん、業界によって程度の違いはありますが、ほとんどの企業でその業務に合わせたITツールが導入されているはずです。
そして、特にリモートワークやPMO業務を効率化する上で、ITツールは相性が良く必要不可欠なものになっています。
一般的にリモートワークを行う場合は、skype、teams、zoomなどを使います。Webミーティングやチャットを行うことができるツールは在宅勤務では必須と言えるでしょう。
その上で、PMOであればプロジェクト管理を支援するツールは必ずと言っていいほど導入されます。
たとえば、Redmine、Trello、Backlogなどがタスク、課題、スケジュールなどの管理を円滑化するため有効です。
さらに、プロジェクトの特徴に合わせて特殊な要件を支援するためのツールも導入されます。
システム開発系のプロジェクトであれば、Githubやsubversionなどソースコードやテストを管理できるツールが導入されます。
このように、ITツールはリモートでのプロジェクト管理におけるあらゆる業務を支援してくれます。それぞれの現場に合わせたITツールを検討することがポイントです。
セルフマネジメント
リモートワークで特に重要なのはセルフマネジメントと言えます。
在宅勤務の場合、部下が仕事をサボっていないか不安になる上司は多いようです。
しかしだからと言って、作業を監視するための仕組みを作ってしまうと、部下のモチベーションを悪化させる原因になります。
これは、プロジェクト管理でも同じことが言えます。
リモートワークだからと言って、PMO管理するタスクや課題の担当者に過度な頻度で報告を求めると、相手のやる気を損ねる結果になりかねません。
監視ではなく日々の業務の報告書を作成するというルールを敷くこともできますが、余計な作業や成果物が増えることにもなりえるため、有効ではない場合もあるでしょう。
一人一人が自分の仕事を管理できるような意識改革や教育が重要になります。
まとめ
PMOはリモートでの案件も多いです。
PMOとしてキャリアアップしていく場合は、たとえフルリモートであっても精度の高いプロジェクト管理スキルが求められます。
オフィスワークとは勝手が違う部分があるため、リモート作業の特徴をよく理解しておくことがポイントです。